7月31日の日本銀行の追加利上げに始まり、8月2日の米国の雇用統計発表がダメを押した、「令和のブラックマンデー」ともいえる日本株の大暴落。その経緯を振り返るとともに今後の暴落の「下限」と4万円台の回復の可能性など、日本株のシナリオを徹底検証した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
日本銀行の追加利上げとFRBの
スタンス変更が暴落劇の始まり
8月5日の東京株式市場は売りが売りを呼ぶ投げ売り状態、セリングクライマックスだった。
日経平均株価は先週末の終値から4451円28銭安の3万1458円42銭となり、ブラックマンデーの翌日の1987年10月20日を上回る過去最大の下げ幅を記録した。年初からの上昇を帳消しどころか、23年末の水準をも大きく下回った。6日は反発して一時3400円高と過去最大の上げ幅をつけたものの、5日の暴落の原因となった景気、業績への懸念はいまだ払拭されていない。
まず、株価暴落の背景を整理しよう。
7月31日に日本銀行は、政策金利を0~0.10%から0.25%に引き上げた。円安による物価上振れの抑止が引き上げの理由の一つだった。さらに、植田和男総裁は、見通し通りに景気や物価が推移するのであれば利上げを継続することを示唆した。
金利の引き上げ自体が、株価にとってマイナスだ。加えて、利上げ決定を受けて円の対ドルレートは円高に振れた。輸出企業を中心とした業績悪化が懸念され、日経平均株価は一時前日比570円以上下落したが、米国による半導体規制の対象から日本企業が外されるとの報道で上昇に転じ、引けは前日比575円87銭高だった。
31日にFRB(米連邦準備制度理事会)は8会合連続で政策金利を5.25~5.5%で据え置いたものの、9月の利下げ開始をパウエル議長は示唆した。その上で、これまで物価優先だった金融政策のスタンスを、物価と雇用の両にらみに変更した。
円の対ドルレートは利上げに向かう日本、利下げに向かう米国という金融政策の変化を受けて急上昇した。8月1日、2日と米国の景気後退懸念と円高で日経平均株価は大幅に下落した。
そして、8月2日の米国の雇用統計の発表が市場を大きく動揺させ、5日の東京市場の暴落の引き金となった。
次ページ以降、その経緯を振り返りつつ、今後の日本株の先行きを予測する。