潜在成長率0.5%では実質成長頼みの
1000兆円達成は困難
そもそも、物価動向を反映しない実質ベースでの成長力はどれくらいあるのだろうか。
生産性、投資、労働力など経済成長に資する要素の動向から、経済にもともとどれくらい成長する力があるかを示すものが潜在成長率である。その時々の状況によって潜在成長率は増減し、日本の潜在成長率については内閣府や日本銀行が定期的に推計値を発表している。
上記の図のように日本の潜在成長率は低下傾向にある。人口減少によって労働投入量が減少していることや生産性の伸びが低下していることが影響している。
潜在成長率は実質ベースである。技術革新などによって大きく生産性が向上するといったことがなければ、今後の実質成長率は潜在成長率と同水準と見なしてよい。
15年から24年の実質GDP成長率の平均を求めると0.5%前後である。実質経済成長率0.5%を前提とすると、自民党の場合は3%、国民民主党の場合は4%の物価上昇が目標達成のために必要となる。日銀のインフレ率の目標は2%だから、目標をはるかに超えるインフレが続くことが前提となる。
消費者物価上昇率は24年12月以降、3%以上の水準で推移している。その状況で国民は物価高に悲鳴を上げている。
3%以上の物価上昇を続けて名目GDPの目標を達成しても、国民生活にメリットはないだろう。
日銀の目標である物価上昇率2%を前提とすると、自民党の場合は1.5%、国民民主党の場合は2.5%の実質経済成長率が目標達成に不可欠だ。
だが、これは困難といわざるを得ない。今後、人口減少に拍車がかかることを考えると労働力の増加による成長率押し上げには期待できない。
政府はこれまで構造改革、規制緩和、成長戦略の名の下に、国内での投資増加、生産性向上に向けて取り組んできたが、功を奏したとはいい難い。過去10年間の潜在成長率の平均が0.5%にとどまっていることがその証左だ。
達成できなくても目標に向けて生産性向上策などを立案し、講じることは望ましい。ただ、自民党、国民民主党とも名目GDP1000兆円の目標達成の可能性は低いといわざるを得ない。




