Photo by Shintaro Iguchi
半導体製造装置で重要なポジションを占めている日本企業は東京エレクトロンだけではない。排ガス測定機器が主力事業だった堀場製作所は、半導体の製造工程で欠かせない「ある機器」で世界シェア6割を握っている。AI(人工知能)半導体の需要が爆増する中、受注環境について創業家3代目の堀場弾取締役に聞いた。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
今や先端半導体の世界的なキープレーヤー
「5年間は投資継続」と断言!供給能力を3倍に
自動車の排ガス測定機器を主力事業としていた計測機器大手の堀場製作所。一般での知名度は決して高くないものの、今では先端半導体産業において重要なポジションを担うキープレーヤーへと変貌を遂げている。
シリコンウエハー上に電子回路を形成する「前工程」のプロセスで使われる装置で世界シェアの6割を握り、半導体製造サプライチェーンの“チョークポイント”を押さえているのだ。当該の装置は、「マスフローコントローラ」という流量制御機器である。成膜やエッチングの作業で、特殊なガスの流量を精密に制御するのに用いられる。
現在の堀場製作所をいかに半導体事業がけん引しているかは、足元の業績から一目瞭然だ。2025年12月期連結決算では、全社の営業利益530億円のうち、先端材料・半導体セグメントが445億円を稼ぎ出した。実に全社利益の84%に上る。営業利益は過去15年で4倍以上に成長した。
生成AIの普及に伴い、先端ロジック半導体やDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)などの設備投資は爆発的に増加している。米巨大テック企業の巨額投資を背景に、大手半導体メーカーも設備投資を次々と発表している。例えば、台湾積体電路製造(TSMC)は最大560億ドル(約8.6兆円)を投じる計画だ。
熱狂はいつまで続くのか。堀場製作所の半導体部門を担う子会社、堀場エステックで3月まで社長を務めていた堀場製作所創業家の3代目、堀場弾取締役は「AI投資は足元ではデータセンター向けの比率が高まっている。今後はエッジAIやフィジカルAIへ用途がさらに広がる。今後5年は投資が続く」と予想している。
次ページでは、堀場製作所の半導体部門の受注動向や今後の見通しを明らかにする。堀場氏は、主力の半導体装置の生産能力を3倍に拡大する投資戦略の狙いなどを語った。一方、同社の筆頭株主となったモノ言う株主(アクティビスト)、オアシス・マネジメントは経営陣への批判を強めている。26年3月に開かれた株主総会で、堀場厚会長の再任に反対票を投じるよう全株主に要請したのだ。オアシスの主張は、他の株主からも一定の支持を集め、再任への賛成率は74%にとどまり、前年の91%から大きく下落したのである。次ページでは、オアシスがなぜ堀場製作所株式を取得したのかも解明する。







