谷川雅洋・コリアーズ・インターナショナル・ジャパン社長Photo by Takayuki Miyai

サッポロホールディングスが不動産事業を外資のファンドに売却するなど、首都圏で外国人投資家による不動産売買が活発になっている。外国人投資家向けに不動産仲介や運用支援を手掛けるカナダ系不動産サービス大手、コリアーズ・インターナショナル・ジャパンの新社長に就任した谷川雅洋氏に、外資による不動産の“爆買い”が相次いでいる背景と、不動産市場の見通しについて解説してもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

“逆ザヤ”になりにくい、稼げる日本の不動産市場
オフィスビルの高い需要が外国人の投資意欲を旺盛に

――円安を背景に外国人投資家による不動産売買が活況を呈しています。コリアーズの調査では、外国人投資家による不動産売買の総額が5兆円を超えたとのレポートを発表しました。日本の不動産市場が活況を呈している背景について、どう分析していますか。

 欧米はインフレによって政策金利が大幅に上昇しました。それに伴い、投資家の要求利回りも上昇し、結果として既存不動産が評価損を抱えることになりました。現在は金利が大幅に上昇する前と比べて、3割程度の評価損があるとされます。

 米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は政策金利を下げ始めましたが、日本の政策金利と比べると依然として高く、物件を新規に取得しようとしても、不動産の利回り以上に金利を払う「逆ザヤ」状態になってしまうのが現在の欧米市場です。

 一方、日本の政策金利は0.75%(3月19日時点)と低く、逆ザヤ状態になりにくいため、外国人による投資が集まりやすい環境になっているといえます。

 もう一つが、在宅勤務者の割合の差です。新型コロナ禍以降、欧米では在宅勤務が定着し、従業員が権利として主張するようになりました。日本はオフィス回帰の動きが強まっており、首都圏のオフィスビルの空室率が1%を切るような状況が続いています。

 不動産には、オフィスや分譲マンションなどさまざまなセクターが存在しますが、日本で一番成長の余地が大きいのがオフィスビルといえます。

谷川雅洋・コリアーズ・インターナショナル・ジャパン社長たにかわ・まさひろ/1961年生まれ、福島県出身。1985年東京大学農学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。ドイツ証券やCBREなどを経て、2022年コリアーズ・インターナショナル・ジャパン入社。26年1月より現職。 Photo by T.M.

――物流施設に関しては大和ハウス工業を筆頭に、大手デベロッパーも相次いで開業するなど競争環境が激化しています。デベロッパー幹部からは物価上昇に伴い、以前と比べて稼ぎにくいとの声が聞かれます。

次ページでは、外国人投資家の動向に詳しいコリアーズジャパンの谷川氏に、オフィスビル以外の日本市場で活性化しそうな分野に加え、プライベート・エクイティ(PE)ファンドやアクティビストなどの戦略や狙いについて明らかにしてもらった。