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物価高対策を巡って「給付金」と「消費税減税」が争点となっているが、いずれも、モノやサービスの需要を増やすという点で、物価上昇の抑制策とは言い難い。とはいえ、家計支援としての役割は否定できず、目的に応じてその効果は異なる。経済全体への波及効果を重視するか、低所得者への支援を優先するかで、選択すべき政策は変わってくる。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

物価の上昇を抑制するという意味では
給付金も消費税減税も好ましくない

 給付金か消費税減税か。物価高対策として今回の参議院選挙の大きな争点となっている。

 実は、物価が上昇するのを防ぐ意味での物価高対策であれば、どちらも好ましくない施策である。

 給付金であれ、消費税減税であれ、モノやサービスの需要が増えることになる。それは価格上昇につながる。消費税減税で税込み価格は低下するが、税抜き価格が上昇する可能性がある。

 今回の物価高は、食料品やエネルギーなどの輸入品の価格上昇が契機となった。ドルなど外貨ベースでの価格上昇に加え、円安の進行も価格上昇に拍車をかけた。

 その意味では、円安の進行に歯止めをかけることは物価抑制策として有効だろう。そのためには、日本銀行の利上げも一法だ。そして、利上げ自体は物価上昇を抑制する方向に作用する。

 しかし、物価高で消費が盛り上がらす、トランプ関税によるダメージも懸念されるなか、日銀が利上げに踏み切るのは困難だ。円高で企業の海外収益が円建てベースで減少すると、株価が下落する公算が大きくなることもハードルである。

 今回の参議院選挙での物価高対策は、物価高を抑制するのではなく物価高で苦しくなった家計への支援策である。

 改めてその観点から、どちらが望ましいのかを検証してみよう。