やっぱり、東京と地方の受験事情は大きく違うし、親世代が子どもだった30年前と現在の入試事情も大きく違う。

 自分の住んでいたエリアの常識、自分が生きてきた時代の常識で、いまの都心の中学受験を判断すると失敗するリスクがすごく高くなる。「こういうもんだ」と決めつける判断は、かなり危険ですね。

「偏差値以外」の判断基準を

――知らないがゆえに、「押さえの学校なんて受けなくていい」と変に強硬になってしまうという。

「偏差値が高い有名校でなければ、わざわざ中学受験する意味はない」という考え方自体、私は好きではありませんが、恐らく学校の中身を知らないから偏差値、数字で選ぶしかなくなっているのでしょうね。

 偏差値はさほどでもないけど、プログラミング教育や理系教育に力を入れている。一人ひとりのフォローをしてくれる。リアルな体験をできる校外学習が充実している。先輩後輩の関係性が深く、文化祭が盛り上がる……など、際立った長所を持つ学校もあります。

 そういう部分を知ると、偏差値以外のところにも目がいって「この学校なら行かせたい」「行ってみたい」と、子どもの特性にマッチする学校選びができるようになってきます。

 たとえば「日能研」のグループ会社が出している『進学レーダー』(みくに出版)には、学校の情報が詳しく載っています。『週刊ダイヤモンド』でも、中高一貫校の特集をしていますよね。そういった雑誌などでの情報収集をオススメします。

――3年近く受験勉強を頑張ってきた子どもの気持ちを考えると、最終的に地元の公立中学に進学するとしても、全落ちではなくて、どこかしら私立中の合格を勝ち取ったうえで「公立を選ぶ」方がいい気がします。

 そうですね。やっぱり全落ちは避けたいですね。

「偏差値が低い学校は無意味」「落ちたら公立でいい」→中学受験のプロが「かなり危険」と断言するワケ〈再配信〉

西村 創(にしむら・はじめ)受験指導専門家

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで25年にわたって、3000人以上を指導。音声とミニコラムで中学受験をサポートする会員限定サービス「中学受験3分メソッド」を運営している。YouTubeチャンネル「にしむら先生 受験指導専門家」の登録者数は約9万人。『子どもを勉強好きにする20の方法』(WAVE出版)、『1分あれば中学生のやる気は引き出せる!』(PHP研究所)など、著書は累計15万部。『小学三年生 中学受験』(小学館)の総監修を務めている。