株価が上がっている時に「買ってはいけない」納得の理由…本当のチャンスは“悪材料”にあり
元消防士が株式投資で築いた資産は、なんと9億円(2025年10月時点)! 三重県在住の専業投資家・かんち。49歳で早期退職してからというもの、生活費のすべてを株の配当金でまかなっている。その配当金の総額は、なんと年間2000万円超え。高配当株と株主優待株を組み合わせた「買ったらほとんど売らない」という手間のかからない“ほったらかし投資術”は、初心者の新NISAにも参考になる。「その投資術を知りたい!」と、長年著作の刊行を期待されていたものの、すべて断ってきた投資歴40年のベテランが、初めて著した話題の書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。
イラスト:鈴木勇介
「悪材料」はバーゲンセールの合図
「この株いいな」と思ったとしても、「株価が高すぎる」と感じた場合には買いません。
新規に買うこと自体をあきらめるのではなく、その後、なんらかの悪材料が出るなどして株価が下落し、安くなったところで買いにいきます。
感情を排して「淡々と」拾う
買い増ししたい株に関しては、「ここまで下がったら、これだけ買おう」と前々から決めておき、その価格まで下落すれば淡々と買い進めます。
もちろん、このやり方だと、株価がずっと右肩上がりだと買えなくなってしまうので、今後も上昇が見込めると思えば、株価が上がっていても買うこともありますが、それはごくまれなケースですね。
上昇相場は「見ているだけ」でいい
つまり、相場が横ばい、上昇しているタイミングでは、あまり買うことはありません。
基本的に“高値づかみ”になってしまう可能性が高いですから。株価が下がったときこそ、“買うべきタイミング”なのです。
【解説】「待つ」という最強の投資行動
この手法を実践する上で最も難しいのは、実は「買いたい気持ちを抑えて待つこと」そのものです。
株価が上昇している局面では、SNSやニュースで他人の利益報告を目にし、「自分だけ取り残されているのではないか」という焦り「FOMO(Fear Of Missing Out=取り残される恐怖感)」を感じるかもしれません。
しかし、そこで飛びつかないことこそが、あなたの資産を守ります。「ノーポジション(現金で持っておくこと)」もまた、立派な投資判断の一つです。現金という弾薬を温存しておいてこそ、暴落時に訪れる本当のチャンスを掴むことができるという面もあります。
その悪材料は「かすり傷」か「致命傷」か
「悪材料が出たら買う」といっても、何でも闇雲に買えばいいわけではありません。ここで重要なのは、その悪材料が企業にとって「一時的な不運(かすり傷)」なのか、それとも「ビジネスモデルの崩壊(致命傷)」なのかを見極めることです。
例えば、一時的な為替の影響や、一過性の不祥事などで株価が下がっているものの、本業の「稼ぐ力」自体は衰えていない場合。これこそが絶好の「バーゲンセール」です。
逆に、業界全体の構造不況や、技術革新による競争力喪失などであれば、それは「安物買いの銭失い」になりかねません。企業の根幹が揺らいでいないかを冷静に分析しましょう。
下落こそが「高利回り」を生む源泉
この投資法の最大のメリットは、安く買うことで「配当利回り」を最大化できる点にあります。
株価が下がれば、相対的に配当利回りは上昇します。高配当株投資において、取得単価を低く抑えることは、将来受け取るインカムゲイン(配当収入)の効率を劇的に高めます。
また、安値で仕込んでおけば、多少株価が変動しても「含み益」のバッファ(余裕)があるため、精神的にも余裕を持って長期保有を続けることができます。「暴落は怖いものではなく、利回りを高めるチャンス」と捉え直すことで、相場への恐怖心は克服できるのです。
※本稿は、『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。







