もともと耳から聞いた情報が入りにくい、雑音のない部屋で集中したいなどの個性も、配慮することでパフォーマンスを上げることができるでしょう。マネジメントよりも現場でのプレイヤーが向いている人、マルチタスクが得意な人などもそうです。誰もが人生のどこかで「配慮を必要とする立場」になる可能性があるだけでなく、配慮し合ったほうが働きやすいのです。
『なぜあの人は時間を守れないのか』(中島美鈴、PHP研究所)
もしかすると、よい職場環境では、この法律が制定される以前から、自然と「ああ、こういう仕事はあの人得意だから、やってもらおう」とか「これは説明を長々と聞くよりも、手を動かしながらやってみるほうがわかりやすいよね」なんて言いながら、仕事を割り振ったり、仕事の仕方を工夫したりしていたはずなのです。
ただ、「自然に」配慮できる場合ばかりではないので、このように法律に定められたという背景もあります。というのも、時間感覚や報酬遅延障害(編集部注/時間的に遅く手に入る報酬よりも、すぐに手に入る報酬を好む性質)や実行機能の問題は、目には見えないものです。ややもすると「やる気がない」「馬鹿にしている」などと誤解されることもありました。
そのため、合理的な配慮がなかなかなされなかったのです。配慮するためには、問題の理解が大切です。
合理的配慮とは「誰かのための特例」ではなく、「みんなが働きやすくなる社会の設計思想」と言えるでしょう。







