「君はADHDだ」とはとても言えない…無自覚な先延ばし癖がある部下を戦力に変える接し方写真はイメージです Photo:PIXTA

遅刻や納期遅れを繰り返す部下を前に、「もしかしてADHDなのでは」と指導を諦めかけた経験はないだろうか。本人に迷惑をかけた自覚がないまま問い詰めても、状況は改善しない。重要なのはどこでつまずいているのかを的確に見極めること。先延ばし癖のある社員を変えるコーチング術を解説する。※本稿は、公認心理師の中島美鈴『なぜあの人は時間を守れないのか』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

ADHD疑惑のある社員に
どうやって話を切り出すか?

 上司が時間管理のできない部下にアプローチする際に、最も困難なことは「どのように話を切り出すか」です。私はさまざまな企業で時間管理の研修をさせていただいておりますが、どこでも必ずと言っていいほど管理職のみなさんからは、この点について質問されます。

「本人に時間管理ができていない自覚がないときに、どのように話を切り出したらいいのでしょうか」

 当然この場合、本人は病院にも通っていませんし、仕事上なんの支障もないとすら思っているようです。

 そのような部下に、突然「あなたはADHDかもしれない」とは倫理上言えません。あくまで職場では、生産性を上げているかどうかのパフォーマンスの話を切り出すべきでしょう。

「最近遅刻が多いんだって?」「〇〇の締め切りが間に合わなかったそうだね」「残業が多くなっているみたいだけど、仕事量について聞かせて」などがそうです。

 時間管理ができないため、どのような結果になっているのかに目を向けましょう。そして、それが仕事の遂行上どのような支障を来しているのでしょうか。初めはその点からスタートするのです。あくまで事実ベースです。