離婚と遺族年金の
注意点とは

 離婚や再婚が絡む遺族年金は、受給順位の逆転が起こりやすく、非常に複雑です。そこで、社会保険労務士でもある古田雄哉弁護士に離婚と遺族年金の注意点を聞きました。

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古田弁護士:再婚相手に連れ子がいる場合、同居してかわいがっていても、養子縁組をしていなければ、遺族年金上の「子」には含まれません。この場合、後妻は「子のない妻」と見なされ、前妻との間の実子に受給権が優先される可能性が高くなります。

古田 雄哉(ふるた・ゆうや)/One Asia法律事務所 大阪オフィス パートナー弁護士。社会保険労務士。 立命館大学法科大学院修了後、兵庫県内の法律事務所、同事務所の支店長職を経て現職。交通事故や労災等の損害賠償訴訟、および中小企業の労務管理・紛争予防や国際相続を専門とする。弁護士と社労士のダブルライセンスを活かし、労働環境の整備から訴訟対応までワンストップで支援。共著に『南アジアの法律実務』『問題不動産 対応マニュアル』などがある。

 離婚した前妻との間にいる子は、元夫の養育費の支払い実績などから、「生計を維持していた」と認められると、遺族年金の受給権を持ちます。

 遺族年金には「転給(権利が次の人に移ること)」という制度はありません。しかし、今回のように「後妻(子のない妻)」より優先順位の高い「前妻の子」がいる場合、その子が成長して受給資格を失えば、後妻への「支給停止」が解除され、受給が始まることがあります。

 後妻やその連れ子を守るのであれば、生前に「養子縁組」を行うか、年金が受け取れないリスクを考慮しておくことが重要です。

 遺族年金は、受取人の生活保障という公的な性質を持つため、遺言書で「今の妻に遺族年金を全額渡したい」と書いても効力はありません。 制度のルールに従って受給者が決まります。

再婚時にやっておきたい
遺族年金への対策

――では、再婚後に養子縁組を予定していない場合は、どのような備えをしておくとよいでしょうか。

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