古田弁護士:そもそも、この年金の問題だけでなく、養子縁組をしなければ連れ子は当然法律上の相続人にもなりません。

 このような場合でも、遺言で連れ子に財産を残すことはできますが、養子縁組をしている場合と比べて前妻の子により多くの遺留分が認められることになってしまうため、後妻やその連れ子のほうを重視するのであれば速やかに養子縁組をすべきであるといえます。

 それでも養子縁組をしない選択をする場合、遺族年金という「公的保障」が機能しないことを前提とした備えをすることが大事です。一般論としては次のような選択肢が考えられます。

1. 遺言を残す

古田弁護士:前述の通り、後妻には法定相続分がありますが、連れ子は相続人とならないため、太一さんのケースに即していえば、遺言がない場合、太一さんの財産は2分の1が前妻との実子(娘)に、2分の1が亜希子さんに相続されます。

 この場合、「亜希子さんに全部相続させる」という遺言を作成していれば、前妻の娘には遺留分が認められるので、遺留分侵害額請求をされると相続財産に対し4分の1までは権利を主張されますが、4分の3は残すことができます。

 遺言があれば基本的には銀行預金の解約や不動産の名義変更なども前妻の娘の関与なく進めることもできます。

 なお、太一さんが浩平さんを養子縁組していた場合は浩平さんも相続人になるため、前妻の娘の法定相続分は4分の1になります。

 そうすると、「亜希子さんに全部相続させる」という遺言を作成していた場合、前妻の娘の遺留分は8分の1となるため、遺留分侵害額請求を受けても、相続財産の8分の7は残すことができます。

2. 「生命保険」による現金確保

古田弁護士:また、生命保険の活用も考えられます。遺族年金は遺言で受取人を指定できませんが、生命保険は「受取人」を自由に指定できます。夫が亡くなった直後の生活費や子の学費をカバーできるよう、後妻や連れ子を受取人とした死亡保険への加入も考えられます。

 相続が発生すると、預貯金口座が凍結されたり、前妻の子との遺産分割協議が難航したりして、当面の生活資金が枯渇するリスクがあります。

 生命保険は原則として相続手続き外で保険金の受け取りができますので、相続について争いになったとしてもこれにかかわらず当面の手元資金を速やかに確保できる、というメリットもあります。

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あと2つある、養子縁組しなくても「後妻と連れ子にお金を残す方法」

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