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父・秀一さん(仮名)が残した約2億円の資産。50代の長男・三村さんは、数千万円規模の相続税を覚悟しました。しかし、税理士とともに財産を精査して見えてきたのは、「納税額を最小限に抑える」ための緻密なシナリオ。鍵を握っていたのは、父がひそかに準備していた「遺言書」と、不動産評価を劇的に下げる知られざる特例の数々でした。2億円の資産を賢く、そして円満に引き継いだ、鮮やかな相続の舞台裏に迫ります。(執筆/ライター 岩田いく実、監修/いちよう相続・税務サポート 田澤広貴税理士)
父の完璧な遺言書で
妻の納税額はゼロに
三村さん(仮名・50代)は父の秀一さん(仮名・70代)を亡くした後、母と妹の3人で相続手続きを進めました。「父がいくつかの不動産を持っていることは知っていましたが、それがどれほどの規模か、税金がいくらかかるのか、まったく想像できていませんでした」と振り返ります。母もまた財産の詳細までは関与しておらず、主に父が管理していたようです。
相続開始後にわかったことは、秀一さんが遺言書を残していたことです。遺言書を見ると、預貯金、自宅のほか敷地面積が広い四つの駐車場・賃貸アパートを所有していることがわかりました。相続財産の総額は約2億円。
「数千万円単位の相続税がかかるのではないか……」
三村さんは不安を感じ、父の死後から約5カ月後に税理士へ相談しました。資産状況を一通り確認した税理士から告げられたのは、予想外の見立てでした。
「お父様が準備されていた遺言書と各種特例を適切に活用すれば、お母様の納税額はゼロとなり、ご家族全体の税負担も大きく抑えられる可能性があります」
父よ、ありがとう
相続税を劇的に下げた方法とは?
税理士のその説明に、三村さんは思わず耳を疑いました。
相続財産の総額は約2億円。基礎控除(3000万円+600万円×3名=4800万円)を差し引いても、約1億5200万円が課税対象として残る計算です。
一般的に考えれば、家族全体で数千万円規模の相続税が発生してもおかしくありません。では、なぜ税負担を大きく抑えることができるのでしょうか。







