Photo:PIXTA
「税務署のお墨付き」という節税策を喧伝するYouTube動画が増えている。だが、そんな節税術を鵜呑みにするのは危険極まりない。連載『富裕層必見! 資産防衛&節税術』の第12回では、怪しげな「税務署のお墨付き」節税術が跋扈する裏事情を明らかにすると共に、真似することで生じるリスクを徹底解説する。(税理士 吉澤 大)
「友人の会社ではOKだった」税務処理が
あなたの場合にはまかり通らない理由とは?
今、一部の税理士や訳知り顔の経営者が、根拠不明の節税策を披露するYoutube動画が急増している。その影響なのか、「どちらともいえない」あるいは「どこまでOKかは微妙」というような「グレーゾーン」の税務処理について、筆者への相談が増えている。
「そういった処理をすることは税務的に難しい」と答えると、「いや、友人の会社ではOKだった」「知人はもっと有利な金額でも税務署に認められた」という反論が相談者の口からよく出てくるのだ。
税の専門家としては、「それはないだろう」という眉唾の話が大半なのだが、中には優秀な顧問税理士が税務調査でどうにかこうにか認めさせたというケースもあるにはあるのかもしれない。だが、こうした真偽不明の話を鵜呑みにして真似するのは危険すぎる。
税務署は概して高い情報収集力を有しており、筆者も税務調査の場で税務署員と話をするなかで「そんなことまで知っているのか」と驚かされることもよくある。とはいえ、わずか6万人の組織が日本中の企業の活動すべてを把握できているわけはない。特に最近は、法人数の増加やこれまでなかった新たなビジネスの誕生に対して、税務署の人員増加が全く追いつかず、その人員も新人と定年退職後のアルバイトである再任用でなんとか税務調査を回しているような状況である。
「国税の網は小さくなった上に、網目も粗くなってきている」ということを、税務調査を担当する税理士ならば、誰もが感じているはずだ。実はこれは、国税庁自身が発表している年度レポートの最初に税務行政の問題点として記載されているほどの公然の秘密なのだ。
そのため、本来、税務上認められない取引でもその網をすりぬけてしまう。税務調査で指摘を受けて追徴課税にまで持ち込まれる方が、実際はレアケースなのである。前述のYouTube動画は要するに、たまたま税務署の「網をすり抜けた」だけの税務処理を、合法的な税務処理と勘違いして喧伝しているに過ぎないのだ。こういった「友人や知人の会社ではOKだった」という取引が、自身の同種の取引においても税務上問題なく許容されるものではないことは自明の理である。
では、どうして、本来は認められないはずの税務処理が、網をすり抜けてしまうのか。そして、こうした現状に対して、節税に関心がある納税者はどう対応すればいいのか。次ページから詳しく解説していこう。







