健康診断でコレステロール値を指摘され、卵や肉を泣く泣く我慢していませんか? 実はその努力、あまり意味がないかもしれません。「食事制限=数値改善」というかつての常識は、今や見直しが進んでいます。著書『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』をベースに、食事制限だけでは効果が出にくい人体の驚くべきメカニズムと、私たちが本当に意識すべき対策を紐解きます。

【脳の専門医が教える】​コレステロール対策の「大きな誤解」ワースト1Photo: Adobe Stock

コレステロール対策の「大きな誤解」

健康診断でコレステロール値を指摘され、「今日から大好きな卵や肉を控えよう」と我慢を重ねているビジネスパーソンは少なくありません。しかし、その努力は期待するほどの効果を生んでいない可能性があります。

悪玉コレステロールを気にして、卵や肉を我慢していませんか? しかし、動脈硬化による心臓病や脳卒中を防ぐために本当に重要なのは、コレステロールの摂取量を減らすことではありません。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

「食べ物から摂るコレステロールがそのまま血液中のコレステロール値になる」という考え方は、かつての常識であり、現在の医学・栄養学では見直しが進んでいます。

体内のコレステロール「8割」は肝臓で作られている

なぜ食事制限だけでは効果が出にくいのでしょうか。その秘密は、人間の体に備わった精巧な調整システムにあります。

体内のコレステロールの約8割は肝臓などでつくられており、食事からの摂取が多いと、身体は自動的に合成量を減らして調整します。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

実は、体内に存在するコレステロールの大部分は食事由来ではなく、自らの肝臓で作られています。

しかも体にはフィードバック機能があり、食事からの摂取量が増えれば体内での合成量を減らし、逆に食事が少なくなれば合成量を増やすことで、血中濃度を一定に保とうとコントロールしているのです。

日米のガイドラインでも「摂取上限」は撤廃された

この体内合成メカニズムが科学的に実証されたことで、公的な栄養基準にも大きな変化が生じました。

日米の食事摂取基準でコレステロール摂取量の上限が設けられていないのは、そのためです。
――『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳「ミクログリア」が味方する6つの習慣術』より

現在、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」でも、目標量の妥当な科学的根拠が得られないとして、コレステロールの摂取上限値は撤廃されています。つまり、「卵は1日1個まで」といった過去の極端な制限に縛られる必要はないのです。

本当に取り組むべき「正しいコレステロール対策」

では、私たちが本当に意識すべき健康ノウハウとは何でしょうか? 問題は「食べる量」ではなく「体内の代謝バランス」にあります。

●悪玉を減らす油を選ぶ: 飽和脂肪酸(脂身の多い肉やバターなど)の過剰摂取は肝臓での悪玉コレステロール合成を促します。一方、青魚に含まれるEPA・DHAやオリーブオイル(不飽和脂肪酸)は数値を整える助けになります。
●食物繊維を積極的に摂る: 大麦や海藻、野菜に含まれる水溶性食物繊維は、体内の余分なコレステロールの排出を促します。
●適度な有酸素運動: 善玉(HDL)コレステロールを増やし、余剰なコレステロールを回収する機能を高めます。

むやみに食品を我慢してストレスを溜めるのではなく、食事の質と代謝を意識したライフスタイルに切り替えていきましょう。