◆【脳神経内科医が警告】最先端の薬も無意味に? 7000人を診てわかった、歩行を奪う「NG習慣」
「人の名前が出てこない」「今やろうとしたことを忘れた」――そんな日常の些細な物忘れは、もしかすると脳からのSOSかもしれません。『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)は、7000人の脳を診察し、3000本以上の論文を読破した専門医が「一生ボケない脳のつくり方」を徹底解説した1冊。カギとなるのは、脳の免疫細胞「ミクログリア」。生活習慣の乱れによってミクログリアが暴走すると、認知症の引き金になる一方、上手に味方につければ、いつまでも若々しい記憶力を保つことができるのです。難しいトレーニングは必要ありません。【血圧】【食事】【睡眠】【速歩】【呼吸】【お酒】という毎日の生活を見直すだけの6つの習慣術で、100歳まで健やかな脳を育てていきましょう。
※本稿は、『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

「いつまで薬に頼るつもり!?」認知症を招く“思考停止”な生活習慣Photo: Adobe Stock

人間の根幹を支える「コントロールセンター」の番人

私は札幌市の病院で脳神経内科の専門医をしています。「脳神経内科」と聞いても、ピンとこない人が多いかもしれませんね。

私たちは、脳・脊髄・神経・筋肉といった、人間を動かし、考えさせる「司令塔」と、その「伝達網」の病気を専門に診ています。パーキンソン病や認知症、あるいは脳卒中、さらには筋萎縮性側索硬化症(ALS)や多発性硬化症(MS)といった難病も、私たちの領域です。

メスではなく「日常の改善」で病に立ち向かうアプローチ

また、よく「脳神経外科」とどう違うのかと聞かれます。脳神経外科の先生方が、脳梗塞や脳出血、脊髄の病気に対し、神業のような手術で立ち向かう「外科医」だとすれば、私たち脳神経内科医は、おもに投薬や生活習慣の改善によって、患者さんの脳や神経の健康をいかに守り、維持していくかを追求する「内科医」です。

だからこそ、日々の暮らしに直結する「生活習慣」に関するアドバイスは、私たちのもっとも得意とするところなのです。

【解説】最強の「予防薬」は、あなたの日常にある

脳神経内科の診察室で、私が患者さんやご家族に必ずお伝えしていることがあります。それは「どんなに最先端の薬であっても、日々の乱れた生活習慣を帳消しにすることはできない」という厳しい事実です。

一方で、食事、睡眠、運動といった日常の当たり前の営みを見直すことは、どんな特効薬にも勝る「副作用のない最強の予防薬」となります。日々の暮らしそのものが、脳の老化を防ぎ、ミクログリアのようなお掃除部隊を力強く活性化させるための、最も重要な治療の場なのです。

7000人の診療から見えてきた「明暗を分ける差」

これまで7000人以上の歩行障害や神経疾患の患者さんと向き合ってきましたが、長く自立した生活を維持できている方々には、共通する「ちょっとした良い習慣」があります

決して過酷なトレーニングをしているわけではありません。毎日決まった時間に起きて朝日を浴びる、意識して歩幅を広くして歩く、あるいは趣味のコミュニティで楽しく会話を交わす。こうした「脳が喜ぶ小さな刺激」を、無理なく日常へ組み込んでいるのです。

逆に言えば、ほんの些細な習慣の差が、数年後、数十年後の健康寿命に決定的な違いを生み出します。

「今日からの行動」が未来の脳神経を書き換える

私たちの脳神経ネットワークは、年齢を重ねてもなお、生活環境や習慣によって変化し続ける「可塑性(かそせい)」という素晴らしい能力を持っています。つまり、これまで脳にあまり良くない生活を続けていたとしても、決して手遅れではありません。

今日、あなたが選ぶ食事の一口、今夜の睡眠の質、明日歩く一歩。その一つひとつが、脳の細胞に確実な影響を与え、未来の健康寿命を少しずつ、しかし確実に延ばしていきます。専門医として断言します。あなたの脳を守れるのは、ほかならぬ「あなた自身の毎日の選択」なのです。

※本稿は『脳の専門医が教える 100歳までボケない脳』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。