ウィルメット店の1階 Photo: Vanessa Valadez for WSJ
【ウィルメット(米イリノイ州)】米国の富裕層が仏高級ブランド、エルメスの商品を買いたいと思ったら、かつてはマンハッタンやビバリーヒルズ、あるいはパリやミラノのような華やかな欧州の都市にある店舗に足を運んでいた。
今ではエルメスが顧客の住んでいる土地まで出向いている。ニュージャージー州ショートヒルズやイリノイ州ウィルメットといった場所だ。同社の幹部たちは、こうした裕福な郊外や、テネシー州ナッシュビル、テキサス州オースティンといった米国の中小都市を「新興市場」と呼んでいる。
8月にオープンしたウィルメットの店舗は、スパニッシュ様式の外観とトンボのモチーフが特徴だ。ドラッグストア大手CVSの店舗向かいにある屋外型ショッピングモール内にあり、スーパーマーケット「ジュエル・オスコ」からも近い。このモールには高級ブランドのオスカー・デ・ラ・レンタやトム・ブラウンも最近、店舗を開設した。エルメスが出店すると、他の高級テナントが後に続く傾向がある。
米国は高級品ブランドにとって数少ない明るい材料として浮上している。中国や中東といった従来の中核市場では需要が減退している。今年上半期にエルメスの売上高の伸びが最も大きかった地域は米州で、15%の増収となった。もう一つの主要市場であるアジア(日本を除く)では、同社の売上高は2%増にとどまった。
エルメスは世界有数の価値を持つ企業だ。単一ブランドでありながら時価総額でライバルの仏LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)を一時上回ったこともある。ただ、業界を取り巻く逆風は変化しつつある。








