「一度、大きな成功を収めたら、その後の人生は安泰だ」。そんなふうに考える人もいるかもしれません。しかし、輝かしい実績を残しても、その後なかなか成果を出せなくなる人がいる一方で、次々と新しい分野に挑戦し、成功を重ねていく人もいます。では、「一度きりの成功」で終わってしまう人には、どんな共通点があるのでしょうか。東大卒業後、BCGでの勤務を経て、日本マクドナルドCMO、Facebook Japan初代社長などを歴任。51歳から司法試験に挑戦し、57歳で合格した岩下充志氏の著書『夢をかなえる 勉強の地図』から、そのヒントを紹介します。
Photo: Adobe Stock
山頂は、「次なる山の麓」である
東大、電通、BCG、Facebook Japan初代社長。すでに十分社会的な成功を収めているのに、どうしてまた別の世界を目指すのか。
なぜ現状に満足することなく、生涯にわたって勉強を続けているのか。
そんな疑問を投げかけられることがあります。
私の感覚としては、一度つかんだ達成感や高揚感は、しばらくしたらリセットされるものなのです。
だから自然と、また次の挑戦がスタートする。
たとえば、猛勉強の末に東大に入り、大学でもしっかり勉強を続けて、無事に卒業できたとき。
それ自体は一つの成功ですし、自分でもうれしかったです。
しかし、ひとたび社会に出れば、新入社員はみんな横並び。成果ゼロのスタート地点に立たされます。
どんなに学歴が素晴らしくても、ビジネスにおける成果を出さなければ評価はされません。
あるいは、司法試験もそうです。5年かかってやっと受かったほど難易度の高い試験ですが、受かった先でたどり着くのは、法曹界のスタート地点です。
20年、30年と弁護士として活躍してきている人から見れば、司法試験に受かったばかりの私なんて、赤子のようなものでしょう。
実際、今の私では、司法の実務では一人でできることは極めて限定的です。
ここでもまた「ゼロ地点」にいるわけです。
そんなふうに、一つの山を登り切ったら、そこには必ず、新しい世界の現実が広がっています。
ゴールに見えた山頂は、実は「次なる山の麓」であったことに気が付くのです。
だから、登頂の喜びにいつまでも浸ひたっている暇はない。
達成感は、すぐに「早く成長して一人前になりたい」と願う純粋な向上心に塗り変わります。
同時に、「ここで歩みを止めたら、あっという間に周りに置いていかれてしまう」という強烈な焦燥感も襲ってくるのです。
その向上心と危機感の両輪こそが、私が生涯にわたって学び続けている最大の理由なのだと思います。
一つの成功に慢心しない
もちろん、自分が頑張ったこと、一つの山を登り切ったことは、大切なクレジットとして心から誇ってよいことだと思います。
ただし、登頂とは、次の新しい世界に入るということ。
初めて足を踏み入れた新たなフィールドでは、ゼロからまた実績を積み上げていかねばならない。
その事実も忘れてはいけません。
世に名を馳せるような真の成功者も、最初から途方もなく高い山を見据えてアタックしたわけではないはずです。
一つの成功で慢心することなく、出会うステージ一つひとつをクリアしていくことで、結果的に、いつの間にか想像もしていなかった場所まで到達できた。
それが成功者たちがみな辿ってきた軌跡なのではないでしょうか。






