「優秀な人が集まる職場ほど、競争が激しそう」。そんなイメージを持っている人は少なくないでしょう。成果を出すために、同僚同士で足を引っ張り合ったり、ライバルを蹴落としたりする。そんな厳しい環境を想像するかもしれません。しかし、本当にレベルの高い職場では、意外なことが当たり前になっているといいます。では、「レベルの高い職場」と「低い職場」には、どんな違いがあるのでしょうか。世界的な戦略コンサルティング会社BCGでの勤務経験を持ち、日本マクドナルドCMO、Facebook Japan初代社長などを歴任した岩下充志氏の著書『夢をかなえる 勉強の地図』から、そのヒントを紹介します。
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ハイレベルな環境ほど「助け合い」が当たり前
勉強してハイレベルな環境に行くと、冷酷で個人主義的な競争社会が待っているのではないか。
そんなふうに危惧している人も多いかもしれません。
たとえば、映画『プラダを着た悪魔』に登場する、自分にも他人にも極限まで厳しい編集長ミランダ。
あるいは、ツイッター社を買収した途端に大量解雇を宣告したイーロン・マスク。
こうした「冷酷で非情だからこそ、そのポジションに立てた」と見える成功者は、物語にも歴史上にも大勢います。
私たちが「高いステージに行くと冷酷な競争が待っている」と怯えてしまうのは、そうした極端な例の印象が強いからでしょう。
ですが私は、実態はまったく逆だと思っています。
BCGで衝撃を受けたこと
私がかつて在籍したBCGは、誰もが知る戦略コンサルティング会社の代表格であり、世界トップクラスの知性が集まるプロフェッショナルファームです。
さまざまな組織に所属してきましたが、最も優秀な人間が集まっていたのは間違いなくBCGでした。
だからこそ、と言うべきか、他者を蹴落とすような殺伐とした社内をイメージされがちです。
私自身も入社する前はそんなイメージを抱いていて「隙を見せたらダメだ」と身構えていました。
しかし、入ってみると、助け合いが当たり前のフラットな社風だったのです。
たとえば、社内ネットワークで「この業界の○○情報を探しています」「○○についてどう思いますか?」などの投稿があると、義務でもないのに、何の見返りもないのに、すぐにポンポンポンと何件もの返信がつきました。
直接関わりのない人が相手でも、自分が知っていることがあれば教え、助ける。
社員全員がそんなマインドを持っていたのです。
他人を蹴落とすような利己的な振る舞いをする人はほとんどおらず、「情けは人のためならず」を体現するかのような文化が形成されていました。
妬む気持ちすら起こらない
これは組織文化に限った話ではありません。トップを走る「個人」を見ても同じことが言えると思っています。
MBA取得のために、コロンビア大学のビジネススクールにいたときのことです。
そこでは、とにかく勉強ができ、周囲を引っ張るリーダーシップがあって、性格が良く、常に他人のことを考えている、そうしたいわゆるオールアメリカンを体現したような人がめずらしくありませんでした。
普通、圧倒的な能力の差を見せつけられると嫉妬や反発を覚えるものですが、あまりにも人間的に優れている人相手では、妬ねたむ気すらおきません。
誰もが純粋に「敵わないな」と心から尊敬してしまうような、真のトップエリートたちだったのです。
もしかすると、他者をサッと助けられるような人格者だからこそ、周りに引き上げられ、スムーズにトップポジションへと上がっていけるのかもしれません。
ですから、上のステージに行けば行くほど、優秀で利他的な人材が増えていきます。
そこには、他者を蹴落とすような殺伐とした空気はなく、むしろポジティブに互いを高め合える環境が存在しているのです。
上のステージへ登り詰めることで得られるのは、単なる地位や名声だけではありません。
足を引っ張り合うような無駄な消耗戦から抜け出し、尊敬できる人たちと互いに助け合いながら、自分のやるべきことに100%集中できる環境。
そんなフィールドが手に入ることもまた、勉強や努力によって得られるかけがえのない恩恵と言えるでしょう。






