3月には香港でも
大規模なフェアを開催

 国内では、09年から農林水産省補助事業として「全国キャラバン!食の発掘商談会」を実施。14年11月27~28日に沖縄県で開催した「沖縄大交易会2014」では、約1800件の商談会が行われ、大盛況だった。上海やクアラルンプール、香港でもPRイベント、アンテナショップ、商談会などを開催してきた。

「海外の場合、バイヤーが予定を急にキャンセルしたり、遅刻したりすることは日常茶飯事。そういった場合は、事前に得たバイヤーとサプライヤー双方の詳細情報・ニーズから判断し、別のバイヤーとの商談をセッティングするなど、臨機応変に対処しています」(西川部長)

 このように説明する西川部長は、14年11月4~5日にシンガポールで開催された商談会で用いた商談の組み合わせ指図書を手元に携えていた。細かい文字でキャンセル・遅刻の場合の代案まで書き込まれており、さながら鉄道のダイヤ編成図を見ているかのようだった。

「シンガポールでの催しは、一つの布石でもありました。JTB九州や自治体の協力も得て、多くのサプライヤーが参加しました。今後もJTBグループが一丸となり、各地で海外販路拡大のコンサルティングに励みたいですね。質の高い商談会をプラットフォーム化し、バイヤー、サプライヤーのニーズに応えるパートナーでありたいと思っています」(西川部長)

「粉末ごま豆腐」の生産者である、大覚総本舗(和歌山県)の角濱昭廣代表取締役社長は「商談会には積極的に参加しています。特にJTB西日本が運営している個別商談会は希望に沿ったバイヤーをあらかじめ決めるため、効率よく商談ができ、成果も出てきています」と語る。

日本の「食」「農」と「観光」、そして「文化」を結び付け、国内外に“本物の日本の魅力”を伝えることにより、交流人口の拡大と豊かな地域づくりに貢献する

 来る15年3月12~13日には、香港でも「ジャパニーズ・フーズ・プレミアム・トレード・フェア」を開催する予定だ。西川部長は、さらなる可能性を「今後は、eコマース事業にも結び付いていくケースも考えられるでしょう。外国人旅行者が訪日時に本物の味を知り、帰国後に再び味わいたくて取り寄せるという需要が必ず存在していると思えるのです」と指摘する。

 離れた場所に暮らす人と人が交流し、食や農をはじめとする物も行き交う──。この動きが活発化することで、人々はいっそう理解し合えそうだ。

 

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