“物流”は“人流”に発展し、
地方の「創生」にも結び付いていく

久保田穣 JTBグループ本社常務取締役
地域交流ビジネス担当

 少子高齢化で就労者人口が縮小し、日本人の国内における旅行需要が衰退することが予想されます。こうした情勢に危機感を抱く当社が打つべき手は、(1)新たな素材に磨きをかけ、より魅力的な商品やサービスを提供することで国内市場を深掘りする、(2)アジアをはじめとする成長性の高いグルーバル市場を積極開拓する──骨太に言えばこの二つでしょう。
 日本の食と農は前者のアプローチにおけるテーマの一つに位置付けられ、ビジネスマッチングはその海外販路拡大を図るための手段の一つです。2014年11月の「沖縄大交易会2014」には私も参加しましたが、サプライヤー201社が出店し、16ヵ国からバイヤー161社が来日して大盛況でした。こうした催しは大手商社なども手掛けていますが、市町村レベルまで深く根差した交流を通じ、地域の隠れた魅力を紹介でき、さらに成約率も高いのが当社の強みでしょう。
 日本の食と農が海外に広まれば、やがては“物流”が“人流”へと発展するはず。当社ではそこまで意識し、食農観光分野の人材育成にも着手しています。生産者側にも観光という視点で農業を捉えてもらうことが重要で、そのための綿密なカリキュラムを作成し研修を実施していきます。例えば越後湯沢では、ミニチュアサイズの俵に入った米が土産として人気を博しているように、観光的な視点が新たな経済効果をもたらす可能性があるのです。その意味では、当社は政府が「地方創生」を掲げる中で、地域の活性化をサポートしていきます。

[PR]

関連記事