いくら社長の発言をもとに人事部がコンピテンシーモデルを作り、重要コンピテンシーを掲げたりしても、評価するのは現場の課長や部長である。すると、トップが意味したこととはまったく違うが評価がなされ、かけ離れた人材が育成・評価されることになる。トップの思惑を的確にくみ取り、現場から見ても実現可能なレベルでコンピテンシーを設定できればいいのだが……結局のところ、トップの発言は単なる理想論だということになりがちだ。

 その点、王貞治さんが球団会長をつとめるソフトバンクホークスには、柳田悠岐という三振もホームランもスゴイ選手がいる。彼はまさに三振で球場を沸かせ、ホームランでファンを喜ばせる選手である。現場のこともよくわかる王さんという偉大な人がフロントにいるからこそ育った人材だと思う。柳田選手が巨人で活躍している姿はちょっと想像できない。

(構成/大高志帆)

※なお、本記事は守秘義務の観点から事案の内容や設定の一部を改変させていただいているところがあります。