絶対に必要な着眼点
災害リスクはこうして調べよう

 では、日頃から災害リスクを意識する上で必要となる着眼点とは何か。主に首都圏に住む人を対象にして紹介していこう。まずやるべき基本的なことは、公表されているデータを確認することだ。

【地震に関する地域危険度測定調査】

 たとえば東京都は、災害リスクを精緻に調べて公表している。代表的なものは、独自に算定している『地震に関する地域危険度測定調査』であり、5133の町丁目に細分化され、数値化されている。指標は建物倒壊と火災の2つがあり、これらをまとめた「総合危険度」の3つがある。地図にもなっているので、一目瞭然でわかりやすい。少なくとも、こうした公表資料は参照しておきたい(図表3参照)。

 この指標は他県ではあまり見られないので貴重だが、実際に住んでいると災害リスクは建物倒壊と火災だけではない。最近は、集中豪雨による浸水や川の氾濫、津波の影響、液状化によるライフライン被害などが、身近に感じるリスクではないだろうか。これらは別の資料を見ることで、ほぼ把握することができる。

【標高図】

 先日筆者は、ある顧客が購入を検討しているマンションを調査すべく、現地に赴いた。今や机上で様々なことがわかるが、現地に行ったら五感を研ぎ澄ます必要がある。所在地は緩やかながら窪地となっており、じめじめ感があった。調べてみると、過去に真下に川が流れていたことがわかった。そんな場所にもかかわらず、建物の収益性を上げるために、1階を半地下にして地下1階まで造られている物件だった。それに加えて、この場所は過去に集中豪雨が近隣で起きており、水が流れ込んだら居住者の命に危険が及ぶことさえ考えられた。このような調査結果から、筆者はその物件を推奨しないことにした。実は、こんな「リスク無視」の物件を右から左へ流す業者は、不動産業界では少なくない。

 こんなときに役立つのが、標高図や古地図である。『デジタル標高地図』では、水害リスクを瞬時に判断することができる(図表4参照)。昨年、鬼怒川の堤防決壊があったが、東京都で言うと荒川の周辺はゼロメートル地帯であり、万が一のときには大災害の発生が予測されている。筆者は安全性の目安として「京浜東北線よりも西側を選ぶこと」を推奨している。特に不動産投資をする人に対しては、たとえ利回りが低くなったとしても、この主張を譲らないようにしている。 

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築年によって生じる「物件リスク」の大きな差

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