国内で大規模な地震と火山噴火が相次ぎ、日本列島は本格的な地震・活動期に入ったとも考えられる。「巨大地震がまた起きるのではないか?」――そんな漠然とした不安を持っている人も多いだろう。世間や不動産業界が、列島が大動乱の時代に入った実感やリスクを十分に織り込めていない今こそ、一歩先に住宅という自身の資産ポートフォリオの価値を、想定される大震災というフィルターを通してチェックしてみよう。
大地震という事態の後の状況については、不動産は大方の予測を裏切る。地震を想定する際、大事なことは「震災後に勝ち残る物件」かどうかなのである。新思考の「最強の物件選び」を、今から考えておいた方がよい。
首都直下地震で不動産価格は暴落?
過去の震災に学ぶことが「はじめの一歩」
「首都圏で地震が起きたら、不動産価格は暴落する」――。そんな声が聞こえてくる。実際に地震が起きたら、地価はどうなるのか。自宅は、人生で最大の買い物だという人も多い。地震の揺れだけでも怖いのに、震災が自分の資産をすべて消してしまう可能性を考えると、とても分譲には手を出せない、と思ってしまう人がいたとしても、理解できる。だが、住宅と地震にまつわる安全性については、俗説も幅を利かせている。
不動産は買い手(消費者)と売り手(業者)の間では、価格など「情報の非対称性」が大きい商品だ。何も知らない消費者は騙されやすいとされるが、地震を想定した場合の不動産選びではどうだろうか。その安全性も、大地震を経験し、液状化や津波、火災の被害に遭ってみて、やっとその脆弱性を実感できることが多い。
ただ、「この先、未来のことなどわからない」と思っていても、その「未知なる非対称性」にお手上げする必要はない。過去の地震歴、地歴などの記録を辿れば、「どこに住めばよいか」も見えてくるものだ。
そのために、まず東日本大震災で住宅不動産や人口にどんな動きがあったかについて、データをベースを紹介しよう。
東日本大震災後の東京都の人口の増減を年齢別に見たのが、図表1である。0より下のマイナスに縦棒が伸びているのは、前年と比較して減少したことを示し、0より上に縦棒が伸びているのは増えていることを示す。結論を言えば、主にファミリー世帯に該当する年齢層が減少した。具体的には、0~12歳の子ども世代とその親世代にあたる30~49歳がマイナスに転じた。逆に、25~29歳の単身者は増加している。
拡大画像表示