今、知っておきたいのは
「現金引き出し」「住宅ローン返済」「り災証明書」の3つ

 このたびの熊本地震で被災されたみなさま、そのご家族、ご関係者のみなさまへ心よりお見舞い申し上げます。

 4月14日に最初の地震が発生して以降、断続的に余震が続くなか、自宅を離れ避難所や車中で過ごしている人は、今後の生活に様々な不安を抱かれていることでしょう。

 今回の連載コラムは予定を変更し、熊本地震で被災された方や、離れて住む家族の方たちに向けて、FPの立場から今知っておきたい「身近なお金」についてお伝えします。

被災された方と、離れて暮らすご家族が当座知っておきたいのは「現金引き出し」「住宅ローン返済」「り災証明書」の3つ Photo by Takeshi Yamamoto

 地震発生間もない今、知っておきたい「お金のこと」は、「現金引き出し」「住宅ローン返済」「り災証明書」の3点です。

 3つ目の「り災証明書」は、直接的に「お金」のことではありませんが、避難生活が落ち着いてから受けられる資金面でのサポートに必要になる書類ですので、併せて知っておく必要があります。

 5年前の東日本大震災の時、私が所属する生活設計塾クルーのFP4人は、被災した方の生活再建に少しでも役に立ててほしいという思いから、『災害時 絶対に知っておくべき「お金」と「保険」の知識』という書籍を、ダイヤモンド社から緊急出版しました。

 また震災の年は、岩手県や宮城県での被災者相談会にも呼んでいただき、たくさんの被災者の方からお金の相談を受ける機会がありました。

 私がそれらの経験から知ったのは、「“お金の心配事”は時間差でやってくる」ということ。震災直後は、食料、医療、水などの確保が優先され、ライフラインの復旧についての情報が一番の関心事となります。やがて徐々にお金のことが心配になってくるのですが、自分のお金の話は個別事情が強すぎて、避難所では話にくいものです。

 誰にも相談できず、手続きをしないままという被災者は、東北でもずいぶん見受けられました。手続きや申請をしなかったばっかりに、もらえるはずのお金やサポートが受け取れないという事態は避けなくてはなりません。

 1~2ヵ月経つと、地震保険や生命保険など、民間保険の保険金請求の手続きに取りかかれるような状況になると思われますが、今はまだその時ではありません。今は最低限の3つだけ、知っておいてください。

 なお、預貯金編、住宅ローン編で記載する「銀行等」とは、銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫・信用組合・JAなど、預金・貯金商品、住宅ローンを扱う金融機関のことを指しています。