先週、6年半ぶりに行われた日本政府・日銀による円売り介入で、「円高・米ドル安」が一息ついた形になっています。
しかし、この介入による円高阻止の効果は、よくてもせいぜい1ヵ月程度かもしれません。
「スーパー介入」の有効期限はどのぐらいか?
9月15日(水)に行われた「円売り・米ドル買い」介入は、報道によると、2兆円弱にも達したと見られています。そうであれば、1日の為替介入額としては、史上第2位の記録になりそうです。
世界の通貨vs円 日足
下の表は、財務省の資料をもとに、1営業日当たりの為替介入額上位をまとめたものです。
それによると、史上最大の為替介入は1998年4月10日に行われた「円買い・米ドル売り」で、なんと2兆6000億円にも達していました。これに続くのが2004年1月9日に行われた「円売り・米ドル買い」介入で、1兆6000億円でした。
今回の「円売り・米ドル買い」介入は、1兆8000億円程度と報道されています。そうであれば、前述のように史上第2位の介入額となり、「円売り」として史上最大の介入額であった可能性があります。
ただ、この1日につき1兆円を越える「スーパー介入」の効果は、これまでさまざまでした。
上の表の右欄外の日数は、介入の「防衛ライン」が破られた営業日数です。
これによると、1日につき2兆円以上にのぼる史上最大規模となった1998年4月10日の「円買い・米ドル売り」介入では、米ドルはその後4営業日で4月10日の高値を更新しています。つまり、介入の「防衛ライン」はたった4日間で破られていたのです。
それどころか、1兆6000億円規模と、これまでのところの史上最大の「円売り・米ドル買い」介入であった2004年1月9日の場合は、わずか2日後に「防衛ライン」をブレイクされていました。
これまでの1営業日当たりの為替介入額トップ10は、すべて1兆円以上に達していました。
このうち、2000年4月3日、ならびに2001年9月21日の「米ドル買い」介入は当面の米ドル底入れをもたらし、また、2003年5月19日の「米ドル買い」介入も、再び米ドルが介入水準を下回るまでに88営業日、つまり4ヵ月程度かかりました。
ところが、この3例を除いた7例は、介入効果が1ヵ月程度しかもたなかったのです。
「スーパー介入」でトレンドは変えられない
それでは、「スーパー介入」が米ドルの当面の底入れをもたらした2000年4月と2001年9月が、どのようなケースだったのかを見てみましょう。
前者は、1998年から続いてきた「円高・米ドル安」が、すでに1999年暮れまでに終わり、トレンドは「円安・米ドル高」へと転換し始めた局面でした。
そして後者は、その「円安・米ドル高」が2002年春にかけて続いた中で起こった米ドル急落の局面でした。
ただし、後者については少し解説が必要です。