処女作にも関わらずシリーズ16万部越えを達成した『バカでも年収1000万円』。担当の飯沼君の本づくりの緻密な計算が随所にみられる本です。後編では、製作過程と刊行後のプロモーションについて聞きました。熱いです!

書名は「バカ」でも
バカっぽくしたくなかったんです。

――装丁でいいと思ったのは、書名は「バカ」でも、デザインがバカっぽくないところ。

飯沼 そうなんです。デザインはベストセラーを数々手がける名デザイナーの重原隆さんです。タイトルは「バカ」にしておいて、でも表紙はカチッとつくる。「ちゃんとした本」であることを、デザインで見せたかったんです。

 本の内容は、「学歴がないおバカでも1000万円稼げるんだ、だから一緒にガンバロー!」というものですが、これを漫画チックなイラストを使って「軽いノリ」を出してしまうと、それこそ「とんでも本」に見えちゃうと思うんです。

 書いてある内容は骨太なんです。一流の経営者が読んでも納得してもらえるはずです。だから、バカっぽくはしたくなかったのですね。

 それに、書名に「バカ」とありますので、何かのスキルをもっていないと、この法則が実行できないという項目がひとつもないんです。学歴がなくてもできる、何かの資格がなくてもできる、英語ができなくてもできる。「誰でも明日からでもはじめられる!」というのが、企画のそもそものコンセプトでした。能力や立場が違っても実践できる真理を書こうというコンセプトです。この真理、何も武器のない「おバカでもできる」というのは、そういう意味も入ってるんです。

――本文をよく見ると「細かい工夫」が随所にある!

飯沼 アイコン的に使われている馬と鹿も、バカっぽくしたくなかったんです。バカをバカっぽく表現したら、本当にバカになっちゃうじゃないですか。それでは、多くの人々に読んでもらえない。ですから、本文のイラストもバカっぽくならない「ギリギリの線」を狙ったんです。軽くするとバカらしいし、硬いイラストだとシリアスなイメージが出ておかしくなるので、その「ギリギリの線」ということで、表情をさり気に入れています。すべてぎりぎりの線なんです。この「ギリギリの線」というのは、いつも、いい仕事をしてくれるんですよね。まさに「バカと天才は紙一重」ですし、「ベストセラーと売れない本も紙一重」なんです。紙一重でベストセラーにするのが、僕のスタイルなんですね。

『バカでも年収1000万円』(後編)<br />売れたのは、著者の力です。柱、ツメ、馬と鹿のイラスト…。こだわり抜かれた紙面。