――他にこだわったのは。

飯沼 読みやすさですね。「法則」のところは基本的に4ページ1項目なんです。奥義のところも、6~8ページにしています。そして必ず右側にタイトルが来るようにしています。ぱらぱらめくったときに、左にあったり、右にあったりすると、見えにくいじゃないですか。だから、すべて右に統一しています。イラストの大きさも通常僕は1ページいっぱいに入れるのですが、今回は、半ページの大きさにして、ページを開いた瞬間に、見出しとイラストが、一斉に目に飛び込んでくるようにしました。これは、文字ばかりにならないので、だれもが読みやすいようにする工夫なんですね。

――章扉も凝っている!

『バカでも年収1000万円』(後編)<br />売れたのは、著者の力です。細かいディレクションによって完成した章扉。あしらわれたアルファベットがいい雰囲気をかもし出している。

飯沼 1章の扉は、「エレベーターのボタン」ですが、年収1000万円にボタンを押すだけかのように、簡単に行けるよという意味です。2章は、「コンパス」です。これはこの方向に歩めば1000万円にたどり着けるよという意味です。3章は、「フロッピーディスク」です。これは、3章のスキルは、簡単に頭にインストールできるという意味です。これら、ボタン、コンパス、フロッピーという3つのアイテムが、各頁の左端のガイド(ツメ)にあしらっています。

 この左端の「ツメ」は該当章のところだけ色を変えているだけでなく、少し大きくしているんです。これは、アップルのパソコンをヒントにしました。マックでカーソルをアイコンに合わせると、そのアイコンが大きく表示されるじゃないですか。あれです。何気に凝ってますでしょ(笑)。

――こういうアイコンのアイデアは飯沼君が考えるの?

飯沼 基本的にそうです。デザイナーに「完璧なラフ」を渡して、それをさらにレベルアップしてもらうようにしていいます。それ以外に工夫しているのは、ところどころに「アルファベット」を入れることです。日本人は「アルファベットカッコイイ症候群」があるので、アルファベットを入れると妙に知的レベルが上がるんです。ちょっと賢そうに見える。これでバカボンのバカっぽさを消しています。今回の場合も柱や扉などデザインとして多用しています。カバーのアルファベットもそうですね。