著名人や有名経営者から名指しで「あなたにインタビューをしてもらいたい」と声がかかるインタビュアーの宮本恵理子さん。これまでに取材した相手は延べ2万5000人以上。そんな彼女の「聞くスキル」を一冊にまとめた『行列のできるインタビュアーの聞く技術』が好評発売中です。本書の巻末には、実際に寄せられた「取材時の困った!」に宮本さんがどう対処してるのかをまとめました。本連載では、書籍の回答に大幅加筆し、取材の悩みに回答していきます。『行列のできるインタビュアーの聞く技術』と一緒に読み込めば、きっと話を聞くスキルがぐっと高まるはずです。

優秀なインタビュアーは取材中、どんなメモを書き記しているのかPhoto: Adobe Stock

ノートに残しているのは
「次の質問のためのメモ」

質問:インタビュー中、話を聞くことに集中していると、つい手元のメモが疎かになってしまいます。「聞く」と「メモする」が同時にできずに悩んでいます。

回答:私は、インタビュー中は、「聞く」に集中します。夢中になって話を聞いている時ほど、手元のペンが止まることはよくあります。だから、メモにすべてを記録することは、最初から諦めています。

 インタビュー中は、話を聞きながら次の質問を考えたり、残り時間に配慮したりと、何かと気にしなければいけないことも多く、相手の話に完全に集中するのは難しいですよね。

 後から音声を聞き返して、「あの時、こんなことを言っていたんだ」と気づくことも多々あります。

 手書きのメモの代わりに、音声を記録する方法は録音です。「録音できていなかった!」という失敗を防ぐために、複数のアイテムを使っています(拙著『行列のできるインタビュアーの聞く技術』に実物を紹介していますので、ご参照ください)。

 では、手書きのメモには何を書いているの? というご質問もよく受けます。

 インタビュー中に私が手元のメモに書いているのは、「次の質問のためのメモ」です。お話の中で特に気になったキーワードや、関連して聞いてみたい質問を書き留めています。

 例えば、「10代から起業を目標としていました」というお話にビビッときたら、「10代から起業」とメモをして、矢印を引っ張り、質問候補として「なぜ?」「何才から?」など書いておく。ごくごく短い言葉で、自分が分かる表現でいいのです。

 すると、メモをサッと見返すだけで、聞きたい質問を拾えます。こうして、手書きのメモと録音メモの用途を使い分ける意識を持つと、メモをより効率的にインタビューに活用できるようになります。

『行列のできるインタビュアーの聞く技術』では、本記事で触れたような相手の話を聞くためのさまざまなスキル、相手の心をほぐして話をよりスムーズに聞くためのスキルを88、紹介しております。そしてこの聞く技術は、インタビューという特殊な環境ばかりではなく、営業や1on1、会議、面接、コーチング、採用、雑談などあらゆるシーンでも生かすことができます。ぜひ、本書を手に取ってみてください。

優秀なインタビュアーは取材中、どんなメモを書き記しているのか