「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そうした「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。今回は本書をもとに、著者がキャリア相談に回答する。(取材・構成/飯田雄、堤国之助)

40代を過ぎても転職すべき人と今の会社に残る方がいい人の差Photo: Adobe Stock

会社にしがみつきながら実績を積んでもいい

■質問 40代は転職すべきか、会社にしがみついて過ごすべきか

■回答
 先日、僕が出演したABEMA Prime*で、「40代は転職すべきか、会社にしがみついて過ごすべきか」という議論を聞く機会がありました。
*中高年でも転職可能?高卒からの年収1000万超“わらしべ長者”に学ぶ極意

 最近は政府が、就職氷河期世代(現時点で40歳前後)の再就職・転職の支援を表明したり(2019年)、45歳時点の早期退職の募集のニュースが跡を絶たないなど、40代の転職は大きな話題となりつつあります。

 僕は、このテーマを語るときは「2つのグループ」に分けて考えるのがいいと思っています。2つのグループとは、40代でも年収を上げて転職できる人とそうでない人たちです。

 1つ目のグループは、40代またはそれ以上になっても現年収以上で転職ができる人たちです。

 例えば、最近ならIT・通信の技術者やDXプロジェクトの推進といったデジタル人材、また、こちらは長年そうですが、大企業の企画職といった人材層になります。このポジションの人々は年収アップや待遇改善等を狙った転職が現実的にできるため、40代という労働市場やポジションは常に意識すべきではありますが、基本的には外部の労働市場にも目を向けて、チャンスがあれば転職するべきです。

 2つ目のグループは、上記以外のグループです。僕の本は、こちらの人たちにこそ役立ちます。

 こちらのグループは転職すると年収ダウン、待遇が悪化する可能性が高いため、「40代は転職すべきか、会社にしがみついて過ごすべきか」の文脈では、「会社に残る」べきだと言えます(今いる業界や会社の先行きが相当悪い場合などは除きます)。

「会社に残るべき」とは言っても、やはりこの2つ目のグループも、外部の労働市場にも目を向けつつ雇われ続ける力(技術、経験、実績、スキル、上司に気に入られるスキル)を磨くべきです。つまり、転職の実績づくりと同じです。

 これはなぜかというと、45歳時点での早期退職募集は日々当たり前の出来事になりつつあるため、このリスクをかいくぐるためという意味でもそうですし、また、いざ転職することになった際に起こり得る年収ダウンの幅を少なくすることができるからです。

 転職はしなくて良いですが、市場で求められているスキルや経験などは何か、また、もし自分が転職することになったらどのくらいの市場価値がいくらかや、労働市場で求められるスキルは把握しておき、会社にしがみつきながらもそれらのスキルや経験を意識して日々の仕事を行うことにより社内での生存確率や社外での市場価値も少なからず上がっていくでしょう。またこうした積み重ねは、実際に転職を迫られることになった際の準備期間の短縮やメンタル的なショックの緩和にもつながります。

 転職の実績づくりのノウハウは、実は40代以降、会社で生き残っていくためにも必要なのです。