老後「ひとりぼっちで孤独な人」「毎日楽しい人」の決定的な違い
42歳でパーキンソン病に侵された精神科医のエッセイが、韓国で売れに売れている。『もし私が人生をやり直せたら』という本だ。「自分をもっと褒めてあげようと思った」「人生に疲れ、温かいアドバイスが欲しいときに読みたい」「限られた時間を、もっと大切にしたい」と共感・絶賛の声が相次ぎ、35万部以上売れているという。
そんなベストセラーエッセイの邦訳が、ついに刊行される。男女問わず、多くの人から共感・絶賛を集める本書の内容とは、いったいどのようなものなのか? 本書の日本語版から抜粋する形で、「人生の限りある時間」の過ごし方について書かれた項目を紹介していく。
老後「ひとりぼっちで孤独な人」「毎日楽しい人」の違いとは?
イギリスの精神分析家ロナルド・フェアバーンによると、人間が根源的に抱いている本能的欲動に、「対象を希求する本能」があります。
他者と関係を築きたいという欲動は、避けられない人間の本能です。人間は誰かに頼りたがり、世話してもらいたがり、何でも共有したがります。うれしかったことや楽しかったこと、おいしかったものなど、ひとりきりで経験するよりも誰かと共有したいのです。面白いものを見つけたからと母親を呼ぶ動物は人間のほかにいないでしょう。
私が他人の必要性を感じたのは、ちょっと意外な場所でした。学会のためにスペインに赴いた時のことです。ひとりで行動するのが好きな私は、その日もバルセロナの街をあちこち見て回りました。
誰に気兼ねすることもなく、行きたいところに好きなだけ行けるので楽しくてたまりません。「どうりで皆、ひとり旅をするわけだ」と納得していました。
夕方になり、サンセットで有名なとある城の塔に上った時のことでした。茜色に染まりながら沈みゆく夕陽を見つめていたら、胸がキュンと高鳴って、思わず「ああ、なんてステキなの! そう思わない?」と声に出して言っていました。
しかし、応えてくれる人は当然いません。そこで私はあることに気づきました。