過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。

初対面で「できると思われる人」と「大したことない人」の違いとはPhoto: Adobe Stock

質問は10問以上用意しておく

会いたい人に実際に会えたときは、どうすればいいのでしょうか。

相手のほうから積極的に話をしてくれることはありません。

その場の空気はこちらがつくらなければなりません。

人と出会ったときに何を質問するかは、非常に重要です。質問によって、質問する側の実力が、ほぼわかってしまうからです。

その時に武器となるのが、あらかじめ用意した質問メモです。

私は初対面の人に会うとき、質問を10問以上用意していきます。

人に会うときは準備をし、絶対に聞きたい話を聞いて帰ります。

食事の場でも、料理そっちのけで質問するので、相手には強い印象を与えるようです。

相手のSNSやインタビュー、著書に目を通せばわかるような質問をしてはいけません。

よく聞かれる質問も、相手を辟易させるだけです。

聞きたいのは、その人の持つ意見や考え方のはずです。

押さえるべき情報は押さえ、そのうえで相手の意見を引き出すような質問を考えてください。

私の場合、経営者に対しては同じ質問を用意します。

普遍的で、経営者ごとに価値観の違いが出る質問です。

「経営指標のうち、どれをもっとも重視していますか」

在庫系の指標を追っている経営者もいれば、純資産しか見ていない経営者もいます。

成長率を重視したり、売上と利益の数字と言う人もいます。

そこには、過去に倒産を経験している人、銀行とうまくコミュニケーションがとれなかった人など、過去の経験が反映されている場合もあります。

それぞれの特性がよく出ていて、その人をつかむうえで非常に参考になります。

就職活動のときは、その企業で活躍している人に「あなたのマーケットバリュー(市場価値)はどのくらいですか」と聞いていました。

給料だけでなく、業界のなかでの相対的な価値、自分の価値に関する自己評価などを、客観的に言えるかどうかを見る質問です。

用意した質問をすべて聞けるとは限りません。

優先順位をつけ、これだけは聞いておきたいと強く思っている質問からしていくといいでしょう。

どれだけ準備したか、相手が共鳴してくれるか、自分のファンになってくれるか。

会う機会がもらえたら、初見で自分の力を示せるかが勝負です。

言うまでもなく、話の流れのなかで疑問に思うことや、話を広げる質問をするのもテクニックのひとつです。話の全体像やその人の意見の方向性、場の雰囲気などを総合して質問しなければなりません。

(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)