「優秀だけど、突き抜けてない」と言われた人がやるべき、ちょっとした工夫

この3月に『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』を出版した株式会社じげん代表取締役社長の平尾丈氏。25歳で社長、30歳でマザーズ上場、35歳で東証一部へ上場し、創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家だ。
そんな平尾氏が「別解力の高いビジネスパーソン」として尊敬しているのが、伊藤羊一氏。Zアカデミア学長として次世代リーダーの開発を行いながら、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長として、学生に向け起業家精神も教えている。著書『1分で話せ』は56万部を超え、数々の書籍を出版するベストセラー著者としても知られる。
不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代に圧倒的な成果を出す「起業家の思考法」について、おふたりに語っていただいた。
連載最終回のテーマは、会社員が「別解力」を身につけ、組織の中で実現する方法について。おふたりの話から、成功する起業家と会社員の共通点が見えた。
（写真　津田咲　構成　林拓馬）

「別のやり方」で仕事を整理してみる

――『起業家の思考法』を自分の仕事に活かすためには、何から始めるのがいいと思いますか。

伊藤羊一（以下、伊藤）　　まず自分の仕事を本に載っている「別のやり方を引き出す 31のヒント」で整理することですよね。今の仕事をどうすればもっと面白くできるか、捉え直すことが大事かなと。

「優れたやり方」については、会社員の方はわかっているはずなので、「別のやり方」を文字にしてみるのが大事だと思います。一歩踏み出して行動する前に、「別のやり方」を書き出して言語化してみるとか、チームで話し合ってみるとか。そこにチャンスが絶対あると思います。

　そして「自分らしいやり方」については、ぜひ僕の本を読んでもらえればと。

平尾丈（以下、平尾）　今のお話、会社員の方にぜひ伝えたいですね。

伊藤　会社員の優秀な頭の使われ方が、今ちょっともったいないですよね。性格がとても素敵で、頭もいい方ばかりなので。

平尾　「別のやり方」を提案されたとき、上司の方は受け入れられると思いますか？

伊藤　この10年でだいぶ風向きが変わっていると思います。受け入れる会社は変革できますし受け入れられない会社は衰退するでしょう。多分その点は、世の中の上司は感覚的にもわかっていると思います。

　ただ、「今までのやり方はこうだ」という変化に対する反発はどうしてもあるものです。そのときにうまく言語化して、「こうやったらできる」と提案できるまで考え抜くことは、すごく大事だと思います。

「今の我が社の流れからすると、無理じゃないか」と言われると落ち込むものですが、「こうすればできます」と言えるかどうか。

平尾　「別解」を結果が出るまでやり切るというのが、起業家のもう一つの力かなと思っています。本でも「実現力」として触れましたけど、「そこまでやるのか」という起業家の底力はやっぱり強いですよね。

伊藤　結局、最後に左右するのはそこですよね。最後の1ページをやり切るのが、成果を出す起業家。それは会社員も一緒だと思います。

会社員もそれぐらいの思いでやる。「いいやり方を提案したのにな」と言っているだけじゃダメ。上司も受け入れられるように「こうすればできる」という「優れたやり方」的な解釈を入れていくのが大事だと思います。

平尾　たしかにそうですね。「別なやり方」を言うだけなら簡単です。会社の中で「優秀なやり方」を求める人たちのオーダーに答えられるか。そこまで考えるのが別解のポイントかなと思います。