「思考重視型授業」とは、知識の暗記だけではなく「考えるプロセス」を習慣化する取り組みである。西田理事は「学んだことに対して、なぜ? どうして? と問い掛けたり、得た知識を別の言葉で言い換えて、自分ごととしてすぐに『使う』。これは知識を長期記憶として定着させる効果もあり、覚える・暗記が使える知識になっていく」と語る。
知識がなければ考えることもできない。まずは基礎となる知識をしっかりと身に付け、それを使う訓練を全教科で実践する。また、中1から高3までオンライン英会話を導入しているが、単なるフリートークではなく、「その日習った過去分詞を使ってネイティブと会話する」など、知識を確実なスキルへと昇華させている。
もう一つの柱「イノベーションクエスト」は、週に2時間の探究型ゼミ学習だ。答えのない問いに対し、「自分だったらどうする?」を突き詰める。中学では「なぜだろう」という疑問から出発し、調査・分析、そして発表までを行う5週間の探究サイクルを繰り返す。対象は中1の「自分ごと」から、中2の「日本ごと」、中3の「世界ごと」へと広がっていく。
高校では「ICT・理工」「自然科学」「社会学」「文化・国際」の四つのゼミが用意されている。特筆すべきは、高1で9カ月間をかけて全てのゼミを体験することだ。西田理事は「『数学が苦手だから理系はやめる』といった消去法で人生を選ばせたくない。また、どんな学びがあるのか分からないままでは、やりたいことを聞かれても答えられないものです」と強調する。そこで、博物館での土壌学体験や、鎌倉でのビーチクリーンを通じたオーバーツーリズム問題の考察など、実体験を経た上で、自分が本当にやりたい分野を選択できる仕組みを整えている。

さらに、2カ月に1度、丸1日校外で探究を行う「超・ゼミの日」や、高校生が1人5万円の予算内で、旅行会社を交えてゼロから企画する「ゼミ旅行」など、学習を自分ごと化させる独自の仕掛けが満載だ。大学教授や企業人もパートナーとして参加し、将来の「大学や社会での学び方」を先取りしている。
