主体的な姿勢を引き出す
「心の教育」
部活動で培った集中力を、生徒たちは隙間時間の勉強へとスライドさせている。例えばある生徒は、帰りの電車内でタブレットを開き、部活の集中力を切らさずに勉強を続けたことで学年トップ層に食い込んだという。教員が細かく指示しなくても、生徒たちは自走して勉強に取り組むたくましさを持っているのだ。部員200人を超えるサッカー部、野球部、陸上競技部、ダンス部といった全国レベルで活躍する部活からも、優れた進学実績が上がっている。
こうした生徒たちの主体的な姿勢を引き出す根底にあるのが、同校が掲げる「心の教育」である。
心が動けば行動は
おのずと変わる
井上校長が指導の軸として重視しているのが、禅の言葉である「そっ啄同時(※)」の精神だ。雛(ひな)が卵の内側から殻をつつくとき、親鳥が絶妙なタイミングで外からもつついて孵化(ふか)を促すように、生徒が動きだそうとするとき、それに呼応するように教員が生徒の心に火を付け、指導・助言していく。「生活指導一つを取っても、無理やり従わせるのではなく、生徒自身が心から『直そう』と思える雰囲気をつくります。心が動けば行動はおのずと変わります」と井上校長は語る。
この「心の教育」は道徳の枠にとどまらず、学校生活のさまざまな場面に具体的に取り入れられている。毎日の登下校時には学びの場である学校に向けて一礼をする「拝礼」の習慣があり、全学年で週に1時間の「仏教」の授業を設けて自己と向き合っている。また、毎年12月には坐禅(ざぜん)実習「臘八摂心(ろうはつせっしん)」が実施され、自由参加でありながら多くの生徒が進んで参加し、人間の在り方を学んでいる。
