その成果は、校内の至る所に確かな形となって表れている。例えば、「Sラボ」と呼ばれる放課後自習支援システムの定着だ。180席の個別ブースに大学生チューターが常駐するこの施設は、今や部活動の前後や放課後に立ち寄り、仲間と共に勉強してから帰宅するという「青稜生の当たり前の生活習慣」となっている。定期試験の数週間前には席の抽選が行われるほどの盛況ぶりで、自学自習する先輩や友人の姿が生徒同士に良い影響を与え合っている。
また、社会との接点を持つための取り組みも定着している。その一つが保護者による「職業理解」の講演だ。経営者や専門職をはじめ、社会の最前線で働く保護者を招いて、生々しい仕事のリアルを語ってもらう。生徒たちは大人の“本音”に触れることで、自らの将来の進路をより真剣に深く考えるきっかけを得ている。
こうした学習習慣の確立や主体的な探究活動により、大学進学実績も大きく向上した。近年は国公立大学や早慶上理への合格者が増加しているだけでなく、医学部や獣医学系など、生徒自身が「本当にやりたいこと」を見据えた多様な希望進路を堂々と宣言し、実現していくたくましさが育っている。「生徒が自分の夢を言語化し、一つ上の目標にチャレンジできる空気が醸成されました」(青田校長)。
好奇心を刺激し続ける
多彩な「釣り針」の存在
生徒の挑戦をさらに後押しするため、同校には多様な起爆剤が仕掛けられている。その一つが、校内のあちこちに現代アートなどを展示する「ヴンダー・カンマー(驚異の部屋)」だ。あえて解説を置かず自由に見て感じることで、生徒たちの思考や感性を脈絡なく刺激する。「本校には約1600人の生徒がおり、刺激の受け方も一人一人異なります。だからこそ、クリエイティビティーを刺激する多様な『釣り針』を学校中にちりばめているのです」と青田校長。

教員の趣味や特技を生かした「青稜ゼミ」も、生徒の好奇心を引き出す重要な仕掛けだ。教員が教科の枠にとらわれず得意分野で講座を開き、中2・中3が合同で学ぶため、学年を超えて多様な価値観に触れることができる。26年からは卒業生が率いるゼミも始まり、プロミュージシャンが「言葉の紡ぎ方」を教えるゼミなど、生徒の興味をさらに広げていく。
