住宅ローン相談室
【第13回】 2018年2月1日公開(2018年2月5日更新)
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淡河範明

住宅ローン特約で、不動産の売買契約を白紙にできなかったら、どうする?
ローン特約のトラブルを回避する5カ条を紹介!

ローン特約とは、住宅ローンの融資を予定通りに受けられなかったとき、「売買契約」を白紙にできる取り決めのことです。しかし、ローン特約についての理解の浅さから、不動産会社との揉め事に発展したり、より良い条件の住宅ローンを逃したりしてしまうケースがあります。そこで、「ローン特約に関わるトラブルを回避するための5カ条」を紹介しましょう。住宅ローンアドバイザーの淡河範明さんにアドバイスしてもらいました。

ローン特約は買主を保護するための約束だが、
期限内に本審査に通らないと物件購入できない

相談内容:
読者 先日、不動産会社と売買契約を結び、事前審査でOKをもらったネット銀行に本審査の申し込みを行いました。ですが、20日経っても、いまだに審査結果が出ていません。このままローン特約の期間(1カ月で設定)が過ぎてしまった場合、売買契約の解除は避けられないのでしょうか? ローン特約の期間を延長してもらうことは可能でしょうか?

 室長の淡河  家を建てることになったり、買いたい物件が見つかったりすると、住宅ローンの事前審査(仮審査)を申し込みます。そして、事前審査に通ったところで不動産会社に手付金(100万円程度のことが多い)を支払い、売買契約を結ぶのが通常の流れです。契約は結んだものの、この時点ではまだ住宅ローンの本審査に通らない可能性が残されています。

 そこで、ある期間内に本審査で予定していたとおりの条件で融資が成立しなかった場合、売買契約を無条件で解除できるのが「ローン特約」です。解除にあたって違約金は不要で、支払った手付金は全額買主に返還されます。

 このように、ローン特約は買主を守るためのものです。ただ、同時に売買契約も解除されるため、どうしてもその物件を購入したい人にとってはメリットばかりとはいえません。

 いずれにせよ、ローン特約は売主と買主の間で交わされる「契約」ですから、相談者のように審査が長引いていることが原因でも期間内に融資が成立しなければ、原則、解除は避けられません。

 ただし、売主にとっても新たな買主を探すのは大変です。そのため、「手付金は返還不要」「明後日には結果が出る」など条件や理由をはっきり提示できれば、延長に応じてもらえる可能性は高いでしょう。延長期間は、通常は+1~+2週間程度でしょうか。もし、「融資が成立しなかった場合でも、手付金の返還は不要」と条件を変更した場合は、+1~+3カ月というところが多いようです。

ローン特約で失敗しないための
トラブルを回避するための5カ条

 相談者の場合、決定的なミスを一つ犯しているのですが、その話をする前に「ローン特約に関わるトラブルを回避するための5カ条」を紹介しましょう。ローン特約は売主と買主間の個別の決め事のため、条項の作り方が非常に重要です。

 ローン特約のトラブルを回避するための5カ条  
(その1)「融資申込銀行」を記載する
(その2)「融資金額」を記載する
(その3)「融資が承認されるまでの期間」は最低でも1カ月取る
(その4)自動的に契約解除される「解除条件型」を選ぶ
(その5)仲介手数料の取り扱いも確認する

 トラブルが起きてから、「契約内容をよく理解してなかった」と抗弁しても後の祭りです。下記の説明を参考に、自分にとって不利な条項については、極力、修正を依頼しましょう。

ローン特約のトラブルを回避するための5カ条(1)
「融資申込銀行」を記載する

 最も重要なチェックポイントです。たとえば、低金利の「ダイヤモンド銀行(仮称)」で審査に通らなかった場合は物件購入を見送る予定だったとします。このときローン特約の融資申込銀行の記載が「ダイヤモンド銀行」になっていると、ダイヤモンド銀行の審査に落ちただけでは、売買契約を無条件に解約することはできません。なぜだかおわかりになりますか?

 」となっているため、買主からほかの銀行にも当たるように言われた場合、拒否できないからです。ローン特約の前提として、買主には「融資契約成立に向けて誠実に努力する義務がある」とされています。そのため、金利が高くても申し込みを行わなければならず、審査に通った場合は売買契約を白紙撤回することはできないのです。契約を解除したければ、泣く泣く手付金を放棄するしかありません。

 ですから、融資申込銀行の欄に審査の申し込み先の銀行名のみが記載されているか、必ず確認してください。空欄のままにしておくのも、もちろんダメです。

ローン特約のトラブルを回避する5カ条(2)
「融資金額」を記載する

 融資金額の記載がないと、売買契約を無条件に解除できるのは、審査に落ちた場合に限ることになってしまいます。もし、本審査は通ったものの融資可能額が目標金額に届かなかった場合(減額された場合)は、本当は売買契約を解除したくてもローン特約が適用されず、困ってしまいます。

 具体的な融資金額を記載しておけば、融資可能額が目標に届かなかったこと(減額)を理由に売買契約を白紙に戻すことができます。

 また3500万円の物件の購入代金のうち、住宅ローンで3000万円、親からの資金援助で500万円調達するようなケースについても注意が必要です。当然、融資金額の欄には「3000万円」と記載してローン特約を結ぶことになります。このとき、住宅ローンについては全額融資が認められたものの、親からの借り入れに失敗して購入資金が不足する場合、ローン特約は適用されません。記載通りの金額でローン審査にクリアしているからです。

 このように、融資金額の記載も大切なポイントですので、売買契約を結ぶ前には諸費用なども含め、きちんと資金の見通しを立てておくようにしましょう。

ローン特約のトラブルを回避する5カ条(3)
「融資が承認されるまでの期間」は最低でも1カ月とる

 ローン特約の適用期間がどれくらいあるかも重要なチェックポイントで、契約日から1カ月とすることが多いようです。それまでに審査結果が出ないと、売買契約を破棄することになります。

 まれに売主の都合で2週間程度の期間を提示されることがありますが、1カ月は取ってもらうように交渉しましょう。トラブルになった場合、契約書の内容は絶対ですから、応じてもらえないようなら契約を見送るのが無難です。

 同様に、年末年始やゴールデンウィークを挟む場合も要注意です。銀行は土日・祝日は動きませんので、その分、期間を長く取ってもらうようにしましょう。最近は審査が短くなっているとはいえ、万が一落ちた場合に次の銀行に申し込む時間的な余裕もほしいですね。

ローン特約のトラブルを回避する5カ条(4)
自動的に契約解除される「解除条件型」を選ぶ

 ローン特約には、「解除条件型」と「解除権留保型」の2種類があります。この両者についての理解不足が原因で、トラブルに発展することが少なくありません。

 前者の「解除条件型」は、チェックポイント(1)(2)(3)に記した条件での融資が認められなかった場合(=融資の不成立)、売買契約が自動的に解除されるものです。

 そのため、仮に売主や不動産会社へ連絡を入れなくても、審査に落ちたのがローン特約の適用期間内なら、期間が過ぎてから手付金の返還を要求しても無条件で認めてもらえます。

 これに対して後者の「解除権留保型」は、融資が不成立だっただけでは適用されません。売主に必ず期間内に解除の意思を通知する必要があります。期間が過ぎてから通知した場合、手付金は返還されません。

 言うまでもなく注意が必要なのは後者(解除権留保型)です。解除の意志を表示する手段に、電話やメールは避けてください。不動産会社に口頭で伝えたからといって、その内容が確実に売主に伝わるとは限りません。また、メールも「受信してない」と突っぱねられてしまえば、証明するのは大変です。

 一番確実な方法は、内容証明郵便による通知です。期限内に伝達したことを、日本郵便が証明してくれます。

ローン特約のトラブルを回避する5カ条(5)
仲介手数料の取り扱いも確認する

 最後に、契約を解除した場合の仲介手数料の取り扱いについても確認を取りましょう。不動産会社の中には、ローン特約による解除においても、仲介手数料を請求してくるところがあります。売買契約を結んだ時点で仲介手数料が発生しているという主張です。

 こうしたトラブルを防ぐため、不動産会社が売買契約書とは別に作成する媒介契約書に「契約が解除された場合、媒介は成立していないものとする」といった文言を入れてもらうようにしてください。

確実に購入したいなら
条件の緩い住宅ローンにも申し込んでおく

 チェックポイントを読んでおわかりの通り、ローン特約は本審査に通った段階で効力を失います。つまり、どこかの銀行で本審査に通れば、売買契約が解除されることはないということです。

 すでにお話ししたように、審査に通ってしまえば減額されても無条件の解除はできません。ですから、絶対に借りる予定のない住宅ローンの審査を受けるのはダメですが、許容できる範囲の中で最も条件が緩くて通りやすそうな住宅ローンにも同時に申し込んでおくべきです。

 今回の相談者はネット銀行にしか申し込んでいないのでしょう。これこそが間違いの始まりです。ネット銀行は低金利な分、審査が厳しく結果が出るまで時間がかかります。実際、不動産会社にネット銀行に申し込みたいと告げると渋い顔をされるものです。

 とはいえ、ネット銀行の金利は魅力ですから申し込むこと自体は問題ありません。ただ、そのときは不動産会社の勧める提携ローンや、審査基準が甘めなフラット35などにも申し込んでおくのです。実際には、その中間のものも含めて3つ程度同時に申し込むのがいいでしょう。

 特に提携ローンは売主や不動産会社と銀行のパワーバランス上、最も審査に通りやすいローンです。物件データもあらかじめ銀行の手に渡っているため、結果が出るのも最短です。さらに大手デベロッパーの提携ローンの場合、一般に公表している金利よりも低く借りられるケースがあります。ただし、ほぼ変動金利しか選べませんので、初めから固定金利を希望する人はフラット35を選択するのもありでしょう。

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審査に通っても慌てて借りる必要なし!
すべての結果が出てからベストなものを

 ところで、多くの人が勘違いしているようなのですが、本審査に通ったからといって、その銀行から必ず借りる必要はありません。「借りられますよ」と言われただけで、金銭消費貸借契約を結ぶまでは断ったからといって何かペナルティーがつくこともありません。
 その証拠に下記の表のように、審査結果の有効期限はかなり長く設定されています。

 審査結果の有効期限
 金融機関 事前審査(仮審査) 本審査
 三菱東京UFJ銀行 180日 270日
 ソニー銀行 60日 60~90日
 住信SBIネット銀行 180日 180日
 じぶん銀行 180日 180日
 イオン銀行 90日 270日
 楽天銀行(フラット35) 1年 1年

 ですから、審査に通ったからといって、慌てて借りる必要はありません。申し込んだすべての住宅ローンの審査結果を待って、一番条件のいいところから借りてください。

 不動産会社は通常、売買契約を結んでから45~60日以内の決済を目指しますが、本審査に一つでも通っていれば決済できる保証があるため、ほかの結果が出るまで融通を利かせてもらえるはずです。

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5位
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