【今回のまとめ】
1.ウクライナ緊張にもかかわらず米国株式は堅調
2.雇用統計は良かった
3.小売店の既存店売上比較は厳冬の影響を受けた
4.ウクライナ情勢の影響は、限定的だった
5.欧州、米国の中央銀行は、もう追加緩和しない
6.バイオ株下落は緩和依存型投資戦略の賞味期間終了を示唆
ウクライナの緊張にもかかわらず米国株式は堅調
先週の米国株式市場はウクライナにおける緊張の高まりという懸念材料があったにもかかわらずしっかりしていました。ダウ工業株価平均指数は+0.8%、S&P500指数は+1%、ナスダック総合指数は+0.65%でした。
雇用統計は良かった
2月の米国の非農業部門雇用者数は+17.5万人としっかりした数字でした。

さらに2013年12月の数字は9000人、2014年1月の数字は1万6000人上方修正されました。

これらのことから米国の景気は一部に懸念されていたほど実際には悪くないことが確認されました。なお雇用者数の増加は幅広い業種で見られています。
一方、失業率は求職者が増えた関係で、久しぶりに前月比で悪化し、6.7%になりました。

過去1年間の失業率の改善のペースは平均すると毎月0.083%になります。

2月に「天候のせいで、仕事することが出来なかった」と回答した人の数は60万人を超えており、これは過去の2月の平均の約2倍でした。
厳冬で小売店の既存店売上比較は冴えなかった
一方、小売店の既存店売上比較データを集計しているコンサルタント、リテール・メトリックス社によると2月の既存店売上高は前年比+2.1%でした。

この数字には景気に余り左右されない薬局チェーンの数字が含まれているので、それを除いた数字では+0.7%にとどまりました。
つまり厳冬の影響は、確かに小売データにも現れているのです。
しかし1年単位での売上トレンドをみると既存店売上比較は改善していることがわかります。
相場の敵はウクライナではなく経済の牽引車の交代である
先週の相場を振り返ると、結局、ウクライナの相場に対する影響は限定的だったと結論付けることが出来ると思います。
週初は確かにリスクオフ的な相場展開になったのですが、それは長続きしませんでした。
むしろ週後半は先進国経済の足腰の強さが問題にされました。
その点に関しては欧州中央銀行(ECB)が先週、もう一段の緩和をしなかった事からも、欧州経済は良い方向へ向かっているので、現状維持でOKというメッセージが強く伝わってきました。
さらに米国の雇用統計では12月以降の米国の経済データが景気のモメンタムの喪失を感じさせたのは、やっぱり天候のせいだったことが確認できました。
これは何を意味するか? といえば、リーマンショック以降、投資家がずっと頼りにしてきた、中央銀行のなりふり構わぬ緩和に甘える投資戦略は、もうそろそろ賞味期間が過ぎたということです。これからは企業業績が相場上昇の裏付けになってゆかなければいけません。
セクター・ローテーションに注意
その点、先週の相場で目をひいたのは、このところ絶好調だったバイオテクノロジー・セクターがピークアウトする様相を呈しはじめている点です。下はアイシェアーズ・ナスダック・バイオテクノロジーETF(ティッカーシンボル:IBB)です。

バイオテクノロジー株は景気に余り左右されないため、不景気なときに買われやすいです。そのバイオ株から投資家が逃げ出し始めているということは、今後、もっと景気敏感なセクターへ投資家がおカネをシフトする可能性を感じさせます。
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| ※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |



































