イトイ式 コトバの解体新書 ~吉本隆明がくれたホンモノの言葉~
【最終回】 2008年7月16日
著者・コラム紹介バックナンバー
糸井重里 [コピーライター/「ほぼ日刊イトイ新聞」編集長]

「経済」の“次”に来るものは何か?
――イトイ式「未来予想図」

1
nextpage

 今回(第4回)はいよいよ最終回です。これまで、吉本さんの言葉をひも解きながら、「エコロジー」「消費」について考えてきました。そこで見えてきたものは、本来人間は規律やルールを守れない生きものだということです。にも関わらず、新たな規律やルールを作り、さらに自分たちを縛ろうとします。ときにその規律やルールは、支配者や為政者にとって都合よく作られたものであることも多いのです。

糸井重里 その最たるものが、「経済」ではないでしょうか。いまの世の中は「経済」というルールに縛られている、ともいえます。「グローバル経済」なんてその典型でしょう。どこかの国がくしゃみをすれば、世界中がカゼをひいてしまう――そんな時代にさえなっています。経済は拡大し続けた結果、貨幣だけでなく、あらゆる指標や数値も生み出しました。数字や金額が一人歩きすることも少なくありません。「経済とは何か?」――その正体を見つけることがとても難しくなっているのです。

 しかし近年、地球温暖化をはじめとする環境問題がきっかけとなり、拡大・成長ありきの世界から、持続可能な世界へのシフトも求められています。20世紀が「経済の時代」だったとすれば、21世紀のいまは「経済の次に来るものを探す時代」に入っています。これまでの世の中のあり方を見直す時期に来ているのかもしれません。

吉本隆明
吉本隆明
1924年、東京都生まれ。「戦後思想界の巨人」と呼ばれ、1968年に発行した著書「共同幻想論」は当時のベストセラーに。詩人・文学評論家でありながら、社会、政治、宗教まであらゆるジャンルを扱う。著書に『ハイ・イメージ論』『超「戦争論」』など多数。

 最終回の今回は、その「経済」をテーマにしてみたいと思います。もちろん今回も、その答えにたどり着くヒントは、吉本さんの言葉の中にありました。それは、ある講演の中の言葉でした。

吉本隆明氏の肉声(講演録より)はこちら

 『経済学は支配者のための学問である』

 そう吉本さんは言い切ります。現代の経済社会の基礎となっている「経済学」は、支配者や指導者のために作られた学問だというのです。言い換えれば、「経済」=「支配者のための仕組み」とも言えるのです。

 そして吉本さんはこうも続けます。

 『もともと経済学や経済論は、支配者のために書かれたもの。ときには支配者にとって都合のよいウソが書かれていることもある。学者のように、たとえ支配者でない人が書いたものであったとしても、それは“指導者”としての目線、つまり上からものを見た形で書かれているものがほとんど。しかしそれを読んでいる一般大衆は、その目線の違いに気づかず、「経済とはこういうものだ」とどこかでだまされてしまうのです』

 『権力や指導なんかではなく、一般大衆としての目線でものごとを見るとどうなるのか――そういう視点を持つこと、それに目覚めることが非常に重要である』

 しかし残念ながら、現在の僕たちにはそれができていません。経済だけでなく、いろんなことについて支配者になったつもりで語りがちです。

1
nextpage
上枠
下枠
underline
昨日のランキング
直近1時間のランキング
この娘に会える電子書籍。


iPhoneであの話題作を!
【憧れのクレジットカード】
「ステータスカード」を使いこなす人に出会いたい!20代女子の淡い憧れは叶うのか…

話題の記事

週刊ダイヤモンド

特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約14冊分お得です。さらに3年購読なら最大45%OFF。

ハーバード・ビジネス・レビュー

詳しくはこちら

1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。

ZAi

詳しくはこちら

年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。

Diamond money!

詳しくはこちら

3月・6月・9月・12月の1日発売(季刊)。1年購読(4冊)すると、市販価格 3,920円→3,200円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。

Keyword
Information

糸井重里 [コピーライター/「ほぼ日刊イトイ新聞」編集長]

1948年、群馬県生まれ。1968年デザイン会社に就職。73年にフリーのコピーライターに。「不思議、大好き。」(82年)、「おいしい生活」(83年)などのキャッチコピーで一世を風靡。98年に「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。現在では、1日140万ページビューを超える人気サイトに。「ほぼ日手帳」など人気商品も多数手がける。「悪人正機」「言いまつがい」など著書多数。
『ほぼ日刊イトイ新聞』 http://www.1101.com/


イトイ式 コトバの解体新書 ~吉本隆明がくれたホンモノの言葉~

糸井重里が人生の師と仰ぐ、思想家・吉本隆明。吉本氏は「ホンモノの言葉」を与えてくれる人だという。言葉の洪水に流され続ける現代人に向けて、ホンモノを見つけることの大切さをイトイ流に語ります。

「イトイ式 コトバの解体新書 ~吉本隆明がくれたホンモノの言葉~」

⇒バックナンバー一覧