
日立製作所の時価総額がついに20兆円を突破しました。これはトヨタ、三菱UFJ、ソニーグループに次ぐ日本企業第4位の規模。しかし、この「20兆円の壁」は並大抵のことでは超えられません。ユニクロを擁するファーストリテイリング、キーエンス、リクルートといった名だたる企業が時価総額10兆円台で足踏みする中、なぜ日立だけが一気に上昇したのでしょうか。実は、日立は利益が急増したわけではないのに、株価だけが急伸したのです。そのカラクリとは一体何なのか。この記事では、日立が20兆円の壁を突破できた要因と、10兆円台どまりの企業との決定的な違いを探ります。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
日立の時価総額は20兆円突破…
エヌビディアは500兆円超の現実
日立製作所の時価総額が20兆円に到達しました。トヨタ、三菱UFJ、ソニーグループに次いで時価総額ランキングではわが国の第4位に位置付けられる躍進です。
さて、時価総額にはそれなりの意味があります。今回の記事では、日本企業で時価総額が10兆〜15兆円の企業と、20兆円を超えていく企業には、その意味するところに大きな違いがあるという話をしたいと思います。
日本の時価総額ランキングで日立の下には時価総額15兆円クラブというべき企業群が並びます。リクルート、キーエンス、ファーストリテイリング、任天堂、東京エレクトロンといった顔触れで、まさに昨今の日本経済をけん引する顔触れでもあります。
ところでこの15兆円という水準に日本のそうそうたる大企業が団子状態になっています。そこにはどうやらひとつの壁が存在する様子です。
今、世界経済をけん引するマグニフィセントセブンと呼ばれる7つの巨大IT企業の時価総額は平均すればおよそ2兆ドルに達しています。日本円に換算すれば300兆円です。これが世界を支配する企業の大きさです。
一方で日本経済はこの30年間で長期低落した結果、世界経済の5%を割り込むところまで縮小しています。
計算をしてみると300兆円の5%が15兆円です。つまり、リクルート、ファーストリテイリング、キーエンス、東京エレクトロンといった時価総額15兆円前後の企業というのは凄いのですが、所詮はマグニフィセントセブンの5%。言い換えれば「日本の株式市場で凄い会社」レベルの存在だということです。