「森さんはツイッターはやらないのですか」

 この質問を最近はよくされる。勤務している大学の学生から。新刊についてのインタビューをされている最中に。あるいはシンポジウムの終盤に行われる観客との質疑応答で。そのたびに僕はこう答える。

「ツイッターってよくわからないのですが」

 質問をした学生や新聞記者や会社員26歳(たぶん)は僕のこの答えに、「ああそうですか」とうなずきながら、ちょっとだけ困ったように笑う。今さらそんなこと言われてもなあといった雰囲気がなんとなく漂う(被害妄想かもしれないけれど)。だから僕は重ねて訊く。

「あなたはツイッターをやっていますか」

「やっています」

「ならば教えてください。ツイッターって何ですか」

 もちろん僕だって、ツイッターの辞書的な沿革や概要くらいは知っている。ネットにおけるオンライン百科事典「ウィキペディア」でツイッターは、以下のように説明されている。

*   *   *

 Twitter(ツイッター)は個々のユーザーが「ツイート(「つぶやき」)」を投稿することでゆるいつながりが発生するコミュニケーション・サービスであり、広い意味でのSNSの一つ。「ミニブログ」「マイクロブログ」といったカテゴリーに括られることもある。

 2006年7月にObvious社(現Twitter社)がサービスを開始した。Twitterは、ブログ・SNSとチャットの中間のようなシステムを持つ。各ユーザーは140文字以内で「つぶやき」を投稿し、投稿ごとに固有のURLが割り当てられる。自分専用のサイト「ホーム」には自分の投稿とあらかじめ「フォロー」したユーザーの投稿が時系列順に表示され、「タイムライン」と呼ばれる。メールやIMに比べて「ゆるい」コミュニケーションが、フォローを介して成立したグループ内に生まれる。

 (中略)投稿や閲覧はサイト上で行うほか、便利な機能を備えた各種のクライアント、クライアントウェブサービスが公開されており、それらを利用して行うこともできる。

 マスメディアでは、Twitterの説明として簡易投稿サイトなどと表記される。

やっぱりツイッターはよくわからない

 ……あらためて読みながら前言撤回。やっぱりよくわからない。なぜならここで使われる言葉の多くに、具体的なイメージが喚起されないのだ。最後に出てきた「簡易投稿サイト」がいちばんわかりやすい。

 ツイッターについての僕の質問に対して、ほとんどの人はこのウィキペディアの記述を、さらにわかりやすく噛み砕きながら説明する。つまり「ブログのようで」「ミクシィのようでもあり」「文字数は140字で」「つぶやくように書く」という説明だ。