円安ドル高を追い風に、好調だった自動車業界の勢いに陰りが見え始めている。新興メーカーの台頭で苦戦を強いられてきた中国市場だけでなく、「ドル箱」だった北米市場でも競争が激化しているからだ。ダイヤモンド編集部は自動車業界の倒産危険度ランキングを作成した。特集『2025年「倒産ドミノ」勃発!?倒産危険度ランキング【上場434社・最新版】』の#8では、“危険水域”にランクインした19社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
北米市場競争激化でトヨタは減益
自動車19社の倒産危険度ランキング
歴史的な円安ドル高水準を受けて、相次いで過去最高益を更新してきた大手自動車メーカーだが、その勢いは鈍化しつつある。トヨタ自動車が11月6日に発表した2024年9月中間決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比3.7%減の2兆4642億円となった。
北米市場ではハイブリッド車の販売が好調だったが、中間期の累計販売台数は同2.8%減となった。連結子会社の日野自動車が北米向けエンジンの認証不正を受け、米国当局との和解費用として2300億円の特別損失を計上したことも利益の押し下げ要因となった。
業績が鈍化しているのはトヨタだけでない。ホンダの営業利益は同6.6%増の7426億円だったが、事業別で見ると二輪事業の同28.6%増に対し、四輪事業は同14.4%減だった。中国市場での苦戦が響いた。
大手自動車メーカーの業績が鈍化すれば、部品を供給するサプライヤーもあおりを食らう。販売が不振の完成車メーカーに対する売上依存度が高いサプライヤーであればなおさらだ。
足元では電気自動車(EV)の需要が鈍化し、ハイブリッド車(HV)に注目が集まっているものの、部品点数の少ないEVが本格普及すれば内燃機関向けの部品を製造していたサプライヤーの経営悪化は避けられない。今後、倒産や事業の売却が増加するとみられる。
では、自動車業界各社の動向はどうなっているのか。ダイヤモンド編集部は自動車業界の倒産危険度ランキングを作成。その結果、19社が“危険水域”に入っていることが判明した。
次ページで、自動車業界の倒産危険度ランキングを明らかにする。大手自動車メーカーでは日産自動車がワースト3に入ったほか、トヨタ傘下の完成車メーカーもランクインした。