発達障害のひとつであるADHD(注意欠如多動性)。「不注意で落ち着きがない」「「根気が続かない」「時間が守れない」など、ADHDに特徴的な思考の傾向や行動パターンがあるが、彼らの能力や人間性に問題があるわけではない。発達障害に気付いて適切な対応を知ること、周囲の理解とサポートを得ることが重要なのだ。※本稿は、司馬理英子『もしかして発達障害?「うまくいかない」がラクになる』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。
約束の時間を守れない
ADHDの人が遅刻する3つの理由
ADHDの人が遅刻することが多いのには3つの理由があります。1つ目は見積もりの甘さ。準備にとりかかるのが遅く、行き方も調べていなかったので、いざ家を出るときにはもう待ち合わせの時間になってしまったCさん(28歳)。
▼Cさん(28歳・女性)の場合
本来なら約束の時間から逆算すれば、何時に起きて、どのくらいで支度をして、何時に家を出ればいいかわかります。ところが、行き方、かかる時間を調べていなかったのですから、見積もりが甘かったと言わざるをえません。
外出するとき、電車の乗車時間はわかっても、乗り換え時間や駅に着いてからの徒歩の時間までを想定しない。電車を降りてからやっと地図アプリで場所を確認し始める。そんな調子で遅刻となるのです。
2つ目の理由は、何かあるかもしれないと予測するのが苦手で、時間ギリギリに行動しようとしがちなこと。到着時間に余裕をもたないため、アクシデントがあるとすぐに予定がズレてしまいます。3つ目は遅刻を軽く見がちなこと。遅れても「事前に連絡したからいいよね」という意識なので、反省がなく、また同じことをくり返してしまうのです。