IPO株の攻略&裏ワザ情報!

「はてな」のIPO(新規上場)の初値予想を公開!投資アナリストが知名度や業績推移などを元に「はてな」を分析すると、初値は公募価格の○倍に!

2016年1月26日公開(2022年3月29日更新)
ザイ・オンライン編集部
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 「はてなブログ」や「はてなブックマーク」などのサービスで知られるIT系ベンチャー企業の「はてな」が、2016年2月24日にIPO(新規上場)することが決まった。

 「はてな」は、数年前から「そろそろIPOするんじゃないか」という噂こそ流れながらも、なかなか上場しなかった銘柄だけに、今回の発表はIPO投資家の間では大きな話題となっている。しかし、日経平均株価が年初から暴落を続け、現在も先行き不透明な状況。投資家心理も冷え込みを見せている。そんな状況の中、「はてな」のIPOは成功するのだろうか。

 今回は、投資情報サービス会社のフィスコで、長年IPOを担当してきたアナリスト・小林大純さんを直撃取材! 「はてな」のIPO銘柄としての評価から初値予測、さらに現在のIPO市況の見通しまで解説してもらった。

【関連記事】
「はてな」のIPO(新規上場)情報の総まとめ!スケジュールから幹事証券、注目度、銘柄分析、他のインターネット関連企業との比較や予想を解説!

「はてな」のブックビルディング期間は、
2月8日〜15日まで

 細かい解説の前に、まずは「はてな」IPOに関する基本的な情報を掲載しておこう。

 

■はてなの概要
会社名 株式会社はてな
市場・コード/業種 東証マザーズ・3930/情報・通信業
事業の内容 UGCサービス事業
(ソーシャルブックマーク「はてなブックマーク」、
ブログ「はてなブログ」などの開発運営及び、
法人向けコンテンツマーケティングサービス、
テクノロジーソリューションサービス)

 

■はてなのIPO(新規上場)の基本情報
スケジュール
仮条件提示 2月5日
ブックビルディング(抽選申込)期間 2月8日~2月15日
公開価格決定 2月16日
購入申込期間 2月17日~2月22日
払込日 2月23日
上場日 2月24日
株数・公開規模などに関する情報
発行済株式数(上場時) 265万2000株(予定)
公開株式数 公募(新株式発行) 18万6000株
公募(自己株式の処分) 18万4000株
引受人の買取引受による売出 38万5000株
OAによる売出 11万3200株
合計 86万8200株
想定発行価格(※) 700円
1単元の株式数 100株
想定公募・売出額(OA含む)(※) 6億774万円
 ※有価証券届出書提出時における想定発行価格で計算
証券会社に関する情報
幹事証券
(※青文字はクリックで詳細ページへ)
SMBC日興証券(主幹事)SBI証券
マネックス証券、みずほ証券、
いちよし証券、岡三証券、エース証券

 「はてな」のブックビルディング期間は、2016年2月8日~2月15日。「はてな」のIPO株を購入したい人は、この期間のうちに幹事証券会社など「はてな」のIPOを扱っている証券会社からブックビルディング参加の申し込みをする必要がある。もし、取り扱いのある証券会社の口座を持っていない場合は、ブックビルディング最終日の前日、2月14日までには口座開設を完了しておこう。

「はてな」の知名度や需給面が
初値を押し上げるポジティブ要因に

 では、いよいよ「はてな」IPOについての分析だ。

 「『はてな』のIPOは、いろんな見方があると思いますが、一定の知名度がある会社なので2016年最初のIPOとしては良いのではないかと思います」

と言うのは、フィスコの小林さん。

 「“いろんな見方がある”と言うのは、ポジティブな面とネガティブな面がある銘柄という意味です。昨年上場したAppBank(6177)もそうでしたが知名度の高いIPO銘柄にはよくあることで、『はてな』もそういう案件のひとつだと考えます」

 まず、「はてな」IPOに期待できるプラス要因を解説してもらおう。

 「ポジティブな面は、なんといっても比較的知名度が高く、話題性があること。また、目論見書を読むと、『アドテク』や『ビッグデータ』など、IPOマーケットで人気が上がりやすい切り口があるのもプラス要因です。IPOの初値では、そのときの需給が大きいウエイトを占めてくるので、人気や話題性の高さが需要につながり、初値を押し上げる要因となります」

 さらに、業績面にもポジティブな面な要素が。

 「『はてな』を評価するにあたりユーザー数が重要な指標となりますが、登録ユーザー数と月間ユニークユーザー数は順調に伸びていますトップライン(売上)も、ここ数年は好調です。想定発行価格700円でPER16.2倍ですが、これもそんなに割高ではないので、この点でも問題はありません」

(出典)はてな「新株式発行及び自己株式処分並びに株式売出届出目論見書」
拡大画像表示

 

■「はてな」の業績推移(単位:千円/%)
決算期 売上高(伸び率) 経常利益(伸び率) 純利益(伸び率)
2011年7月 453,978
45,317
26,629
2012年7月 829,984
(82.8%)
115,454
(154.8%)
65,933
(147.6%)
2013年7月 900,101
(8.4%)
93,148
19.3%)
55,105
(−16.4%)
2014年7月 844,063
(−6.2)
91,842
(−1.4%)
63,735
(15.7%)
2015年7月 1,094,577
(29.7%)
164,914
(79.6%)
55,164
(−13.4%)
2015年10月 1Q 415,590
(—)
124,388
80,020

 さらに吸収金額(公募売出額)が低いため、需給面もかなり良い状況と言える。

 「公開株式数は合計86万8200株とそこそこの数字ですが、想定発行価格が700円と安いので、想定公募売出額は約6億円とIPOとしては非常に小さい。この程度の公開規模であれば、需給面でタイトになって上昇しやすいと思います」

 昨年2015年の公開規模ランキングと比較すると、「はてな」の6億774万円という想定公募売出額は全92銘柄中75位に相当する数字。相対的に、かなりの小型案件と言えるだろう。

 なお、昨年の初値当落率トップ10銘柄のうち、9銘柄が公開規模10億円未満だった。このデータからも、IPOでは公開規模の小ささが初値を押し上げる要因になっていることがわかるだろう。
(関連記事⇒2016年にIPO(新規上場)が期待できる銘柄を予測!初値騰落率や上場後騰落率、勝率などを集計した「2015年 IPO投資ランキング」も発表!

 さらに、株主構成にベンチャーキャピタルがいないのもプラス要因だと小林さんは言う。

 「大株主にベンチャーキャピタルがいると、上場後、市場にその持ち株が放出されて株価が下落することが懸念されますが、『はてな』にはそのリスクがありません。現在、創業者の近藤淳也会長が『はてな』の株の66%を保有していますし、目先で市場放出される株も公募売り出し以外では多くないので、需給面では非常に良い案件と言えます」

「はてな」の将来的な成長期待度がネガティブ要因に

 一方、株価を押し下げるネガティブ要因も存在する。

 「『はてな』は一定の知名度があり、そのサービスには根強いファンも付いていますが、『フィンテック』のように“大きな成長期待が持てるトレンドに乗った事業”を手掛ける企業とは言いづらいかもしれません」

 IPO銘柄、特にベンチャー系企業は、上場後、右肩上がりで何倍にも成長してくことが期待される。しかし、「はてな」の場合、一定の人気がありユーザー数も増えているのの、現在はある程度の安定を見せているため、「今から爆発的に成長が期待できるか?」と聞かれると難しいところだ

 「経常利益や純利益を見てもまっすぐ右肩上がりというわけではありません。今期予想を見ても、営業利益で一桁増です。第1四半期が高進捗なので上振れするかもしれませんが、それでも一桁増水準だと『利益の伸びが大きい』という見方はしにくい。その辺りを投資家がどう判断するかが課題と言えます」

日経平均株価が下落しても、値動きが安定すれば
IPOの初値を押し上げる追い風に!

 「はてな」に関する解説の次はマーケット環境の分析だが、やはり今のように日経平均株価が連日何百円も上下するような状況は、新規公開株にとってマイナスだと小林さんは言う。

 「IPOのマーケット環境として一番厳しいのは、値動きが激しい相場のとき。値動きの大きなIPO銘柄は、相場が不安定なときはどうしても敬遠されやすいのです」

 昨年夏のチャイナショックのときがいい例だ。2015年8月18日の急落から9月29にボトムをつけるまでの間に新規公開した銘柄と初値騰落率をまとめると、次の表になる。

 

■2015年8月のチャイナショックの時期にIPOした銘柄と初値騰落率
上場日 銘柄名(コード) 初値騰落率
8/26  土木管理総合試験所(6171) −2.4%
8/28  ラクト・ジャパン(3139) 0.0%
8/28  メタップス(6172) −7.9%
8/31  アクアライン(6173) 21.7%
9/2  ベステラ(1433) 25.0%
9/2  STUDIOUS(3415) 19.9%
9/8  JESCOホールディングス(1434) 5.4%
9/14  ピクスタ(3416) 34.8%
9/15  アイビーシー(3920) 251.0%
9/17  ブランジスタ(6176) 43.8%
 平均騰落率 39.1%
 ※2015年8月18日〜9月29日の期間で集計

 2015年に新規公開した92銘柄の初値騰落率の平均は+87.5%だったのに対し、チャイナショックの時期に上場した銘柄の初値騰落率の平均は+39.1%しかない。全体の平均+87.5%を超えたのは、テーマ株で人気化したアイビーシーくらいで、その他の銘柄は+50%にも満たなかった。

 2015年に新規公開した92銘柄のうち、約半数の44銘柄が初値騰落率50%を超えていることを考えると、チャイナショックがいかにIPO初値の重しになっていたのかわかるだろう。

 「高い安いではなく、相場が不安定なのがネガティブ要因なのです。日経平均株価が低位でも安定していれば、短期投資家さんを中心に値動きの出るIPO銘柄へ物色が向かうので、IPOの環境は良くなります」

 つまり、今の相場環境のままだとマイナス要因だが、2月24日の上場日までに日経平均株価が回復するか、戻さないまでも値動きが落ち着きを見せるようになれば、初値高騰を後押しするプラス要因になるということだ。

「はてな」の初値は、公募価格の2倍を期待

 「はてな」の初値予想に関してこれまでの話をまとめると、次のようになる。

【プラス要因】
・知名度が高く、話題性がある
・「アドテク」や「ビッグデータ」といった人気の切り口がある
・登録ユーザー数、月間ユニークユーザー数、売上が伸びている
・PERが16.2倍で、それほど高くない
・公開規模が小さく、需給がタイトになりやすい
・株主構成にベンチャーキャピタルがいない
・日経平均株価がV字回復すればもちろん初値を底上げするが、低位のまま安定しても短期投資家がIPOに流れてくることが期待できる

【マイナス要因】
・ITベンチャー企業としては比較的安定感があり、今後の急速な拡大・成長がイメージしにくい
・日経平均株価が不安定なままだと、リスク投資であるIPO株は敬遠される

 これらの要素を総合的に考慮した結果、小林さんは「はてな」の初値を次のように予想する。

 「市況次第のところはあるし、仮条件や公募価格がいくらに設定されるかにもよるのですが、知名度や公募売出の小ささなどを考えると、初値が公募価格の2倍以上になることは十分に期待できます」

 つまり、仮に公募価格が700円だとすると、単元株数は100株なので、最低購入資金は7万円。初値騰落率が2倍以上というのは、これが初値で14万円以上になる計算だ。

上場後のセカンダリー投資は、
短期売買なら期待できる

 では、上場後に購入して値上がりを期待する「セカンダリー投資」はどうだろうか。

 「『はてな』は一定数のユーザーを持っているので、今後それをどう収益化していくのかがキーになります。その辺の戦略がある程度見えてくると株価も上昇して行くでしょう。ただ、目論見書を見る限り、直近数期の利益動向からは成長企業としての評価は難しいですね。また、初値が大きく上昇してしまうと、その後の株価調整局面が長引く可能性もあります」

 ただ市況次第では、短期的な売買にうま味があると小林さんは見る。

 「昨年IPOしたAppBank(6177)のときがいい例ですが、他に値動きの出ている銘柄がない状況だと直近IPOに買いが集中して、一時的な上値追いの上昇が起こる可能性があります。特に『はてな』みたいな知名度のある銘柄は物色を集めやすいので、短期で狙っていくのはアリですね

「はてな」IPOに申し込める証券会社はここだ!

 そんな「はてな」のIPOに申し込める証券会社は、下の表の通り。一番の狙い目証券会社は、やはり主幹事であるSMBC日興證券だ。

 

■幹事証券会社
証券会社名(※青文字はクリックで詳細ページへ) 口座開設
SMBC日興証券(主幹事証券)[最短5日で口座開設可能]
公式サイトはこちら!
SBI証券[最短2日で口座開設可能]
公式サイトはこちら!
マネックス証券
公式サイトはこちら!
みずほ証券  
いちよし証券  
岡三証券  
エース証券  

SMBC日興證券は、野村證券大和証券と並んで「3大証券会社」と呼ばれ、IPOで主幹事を務めることも多く、2015年のIPO主幹事証券会社の実績ランキングでも2位となっている。IPO投資に力を入れるなら、口座を持っていて損のない証券会社だろう。
(関連記事⇒2016年にIPO(新規上場)が期待できる銘柄を予測!初値騰落率や上場後騰落率、勝率などを集計した「2015年 IPO投資ランキング」も発表!

 また、IPOの当選を本気で狙うなら、できるだけ多くの証券会社から申し込んでおきたいところ。他の証券会社の口座開設も検討してみるといいだろう。ただし、ブックビルディング期間まで間がないので、もし新たに口座開設をするなら早めに申し込み手続きをしておこう。

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2023 2022 2021
19社
52社
24社
47社
26社
80社
10%:1人1票の平等抽選
最大5%:「ステージ別抽選」
※1
345万
【ポイント】
大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。
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主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) ネット配分・抽選方法 口座数
2023 2022 2021
21社
91社
13社
89社
21社
122社
60%:1単元1票の平等抽選
30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分
10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分
1245万
【ポイント】
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