「国家戦略局」が立ち消えに
“政治主導”は自民党時代に後退か

 民主党政権の政治主導の司令塔となるはずであった「国家戦略局」が菅直人首相の小さな一声で消えてしまった。

「国家戦略室」は続くらしいが、これも“局”の設置を断念するための小策であろう。

 民主党は昨年の総選挙のマニフェストで、目玉公約として次のように高らかに謳った。

「首相直属の国家戦略局を設置し、新時代の国家ビジョンをつくり、政治主導で予算の骨格を策定する」

 この段階では、経済・財政の司令塔であるばかりでなく、外交戦略を含む政治主導体制の主軸となるはずであった。

 私は当然、国家戦略局の設置法案は既に用意されているものと思っていた。

 だから、週刊ダイヤモンドの連載記事でも、とにかく早くこれを国会で成立させるべきことを強く主張した。

 ところが、実際には、法案は用意されていなかったのである。信じられないことであった。

 そしてこの設置法は既に閉幕した通常国会で成立させるとして先送りされたが、結局はそれを断念することになったのである。

 しかし、その間、担当大臣には、菅直人氏と仙谷由人氏が就き、現内閣では荒井聡氏が引き継いでいる。

 一体この間、「戦略室」は何をしていたのか。そして、戦略局の設置法はどうなったのか。何の説明もないまま、途中で公約が放棄されてしまった。強い憤りを感じる。