ANA・JALの空港ラウンジ「共通化」にマイル上級会員は何を思う?“改悪”とは言い切れないワケを専門家が解説写真提供:関西エアポート(株)

2024年のインバウンドは約3700万人と過去最高を記録。国内旅客数もANA・JALともに前年度を上回り、主要空港は大にぎわいだ。大型連休中は、駐車場不足と空港ラウンジの混雑に困る人が増えている。快適な空港ラウンジは、サービス改悪へと突き進んでしまうのか。(空港アナリスト 齊藤成人)

羽田空港の駐車場は値上げへ?

 ゴールデンウィークで例年、最も利用客が多い空港は羽田だ。羽田には全部で5カ所、1万3000台分の駐車スペースがある。だがコロナ禍が明けてからは常に満車に近く、なかなか車を停めることができない。駐車スペースを探しているうちに飛行機に乗り遅れた、という話も耳にするようになった。

 そもそも羽田の駐車スペースは、同規模のヒースロー空港(英ロンドン)や仁川空港(韓ソウル)と比べると半分ほどしかない。一方で、1日あたりの乗降客は約24万人もいる。おまけに以前は9割を占めた公共交通利用者の割合が、8割に減っているのだから駐車スペースは絶対的に足りないのだ。

 残念ながら空港島内で駐車場の拡張余地は少ない。たとえ整備しようにも国有財産なのでまず公募から始めなければならず、完成までに何年もかかる。さしあたり混雑解消には需要をコントロールするしかなく、今後羽田では大幅な駐車場料金の値上げが実施されるだろう。

 ただし、過去に会計検査院から空港駐車場は「儲けすぎ」と指摘を受けている。この指摘では、「駐車場の運営には特段の専門性は不要」とまで書かれた。が、海外の空港オペレーター関係者によると、「空港は駐車場で稼ぐ」「運営には特殊なノウハウがある」と口をそろえる。短期駐車、長期駐車、バレットパーキングなどと、細かくエリアと料金を分けることで売り上げの最大化を目指すそうだ。

 ところが、羽田の駐車場には管理者が3団体いて別々に運営している。簡単に海外と同じようにはできない。5つの駐車場を一括管理するコンセッション(公共施設の所有権を公的機関に残したまま運営権を民間に売却する方式)を導入するしかないだろう。

 駐車場不足は羽田だけの問題ではない。伊丹、新千歳、福岡でも同様に混雑の話はよく聞く。ちなみに伊丹では送迎エリアが設けられ、5分以上滞在すると料金が400円~発生するようになった。

空港ラウンジは開業ラッシュだが…

 駐車場ほどではないものの、不満が渦巻いているのが空港ラウンジの混雑だ。