シニアの女性と男性写真はイメージです Photo:PIXTA

「定年後、どう働く?」との悩みに対して、精神科医の和田秀樹は定年後も働きやすく、またシニアならではの強みもいかせる4つの職業をオススメする。70~80代でもこなせる警備員、シニアこそ求められる管理人、スキマ時間にも稼げる清掃員、シニア世代ならではの強みがある介護職。それぞれ仕事の魅力を解説する。本稿は、和田秀樹『定年後の超・働き方改革 「楽しい仕事」が長寿に導く!』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

「事務系」から「現場系」へ
楽しく働いて元気に長生き

 ハローワークや就職サイトでとくに高齢者向けに多く求人が出ている4大職業についての私の考えをご紹介します。

 警備員、管理人、清掃員、介護職、の4つとなりますが、こういった「現場系」の仕事に対しては、社会人となってからずっと「事務系」の仕事を続けてきた方のなかには抵抗を感じる方も多いのではないでしょうか。

 私は、現場系の仕事も「案外、楽しめそうだな」と感じています。勤務時間を有意義にするのも、楽しみを見出すのも、自分次第なのです。

 たとえば大企業の部長だった人が「定年後は掃除の仕事をしたい」と配偶者に打ち明けると「世間体が悪い」と否定された……。そんなケースをよく見聞きします。

 でも、その仕事をあなたが心地よいと思えるなら、世間の目なんて“糞食らえ”です。本当の自己で生きる覚悟をすれば、そんな価値観は簡単に吹き飛ばせます。

 元部長が清掃員になろうが、介護職を選ぼうが、警備員になろうがいいではありませんか。あなたが第二の人生を自由に生きていきたいなら「やりたい」と思ったその気持ちをまずは尊重すべきです。その気持ちに素直に、忠実になりましょう。

 楽しく働けば、元気に長生きできる、というメリットもついてきます。

定年後も働きやすい四大職業
(1)警備員

 警備員って、体力が求められる仕事に思えるかもしれませんが、じつはその逆。とくにシニアの方にはピッタリの仕事なのです。

 だって、暇な時間が多いんですよ。ビル警備なんて、勤務時間の8割以上が座り仕事です。そう、モニターをじーっと眺めているだけ。あとは、館内に入る人のために鍵を開けたり、電話の対応をしたり。ちょっとした事務作業に近いですよね。

 商業施設の警備もそう。巡回して異状がないか確認するだけ。体力的には全然ハードじゃないのです。最初は「どこがチェックポイントだっけ?」と迷うかもしれませんが、慣れてくると体が勝手に動くようになります。

 で、暇な時間に何をするかって?本でも読むのがいちばんじゃないですか。

 知人の警備員さんも「暇つぶしが上手な人が長続きする」と言っていました。そう、ここだけの話ですが、内職しても注意されない現場も多いのです。

 本を読んだり、考えごとをしたり。自分のペースでできる仕事ですから、ストレスもほとんどありません。