暗記をする女子学生写真はイメージです Photo:PIXTA

AIや検索エンジンがあれば、知識を暗記する必要なんてない――そんな意見をよく耳にしませんか。確かに、スマホひとつであらゆる情報が手に入る時代、わざわざ記憶することに意味があるのかと疑問に思うのも無理はありません。しかし、記憶力を競う大会で日本チャンピオンになった経歴を持つ、『東大式 記憶力超大全』の著者、青木健さんは、この考えに異論を唱えます。一方で、ただ知識を暗記しただけの記憶は価値が低いと指摘します。「記憶の本当の価値」と「“暗記バカ”にならないための方法」を聞きました。(構成/田之上 信)

「ただの暗記バカ」と
「本当に頭のいい人」の決定的な違い

 何かの用語や単語、知識、情報を記憶する、覚えるということは、あくまで手段です。本来、その先に何かを生んだり、興味や関心をどんどん広げたりしていくためのツールにすぎません。

 ところが、暗記や記憶を単に知識を蓄えるものであるという狭い範囲でとらえてしまうと、暗記や記憶そのものが目的となってしまいます。

 記憶や暗記の意義は、よりたくさんの知識や情報を蓄えることではなく、それらをうまくアウトプットすることだというのが持論です。知識や情報の有効活用、運用です。

記憶力日本チャンピオンでメモアカ代表取締役CEOの青木健さん 撮影=ダイヤモンド・ライフ編集部記憶力日本チャンピオンでメモアカ代表取締役CEOの青木健さん 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部

 具体的には、自分の人生を豊かにしたり、人の役に立ったりするために応用させていく、発展させていくということです。

 いくら知識を豊富に持っていても、それを有効に活用できなければ、その知識の価値は低下すると私は考えています。

 もちろん、学校のテストや資格試験に備えて英単語や歴史の年号、専門用語などを単に丸暗記することもあるでしょう。

 趣味の分野などでたくさん知識を増やし、自分で楽しめればそれで満足という人もいると思います。本人がそれで楽しく、幸せなのであればそれでもかまいません。大きなお世話というものでしょう。