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資産管理ツール導入で目論む
マネックスの新顧客獲得戦略

週刊ダイヤモンド編集部
2010年10月21日
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マネックス証券がサービスを開始した「マネックス ビジョン」の画面。10月13日時点でユーザー数は1万2700人に達した

 オンライン証券大手のマネックス証券がうれしい悲鳴を上げている。10月1日に導入した新たな資産管理ツールが、早くもサービス開始4日でユーザー数1万人を突破したのだ。

 このツールの名称は「マネックス ビジョン」。同社の口座を持つ投資家なら誰でも無料で利用でき、長期分散投資を好む個人投資家向けに提供するものだ。かつて同様に無料導入した株の短期売買ツールがユーザー1万人に達するまで2ヵ月は要したことを鑑みても、異例のスピードである。

 具体的な中身はこうだ。まず、同社の口座で保有する金融資産が国内株、新興国株といった具合に、自動的に11の資産クラスに分類され、現在のポートフォリオが円グラフで表示される。

 次に、投資家が目標ポートフォリオをリスクに応じて三つのレベルから選択すると、今度は現状とのギャップが定量的かつ視覚的に示される。資産総額を変えずにリバランスを行うには、何をいくら売り、買えばよいかがひと目でわかるし、追加で資産を購入する際のアドバイスもしてくれる。

 「これまで個人投資家が感覚でしか行えなかったことが、最先端の金融工学を駆使して分析、リスクを管理できるようになる」(開発担当の飯田敦・先進サービス企画室長)という代物だ。

 じつはこのツールの導入には、別の思惑も隠されている。

 かつては買いたい商品を取り扱うオンライン証券が1社しかないこともザラだったから、複数の口座を保有する個人投資家は少なくない。こうした投資家たちからは、「そろそろ1社に口座をまとめたい」との声が聞こえてくる。

 そこで、同社はまず投資家にこのツールを「保有する資産すべての分析に使いたい」と認識してもらうものにした。他社で保有する資産についても、手動で入力できる仕様にしてあるのだ。

 その目論見どおり、すでに1割強の利用者が外部資産を入力しているという。これで、顧客が他社で保有する資産の全貌という、得がたい情報をつかめる。

 そればかりではない。手動での入力が次第に面倒だとなってくれば、「他社の口座から資産を移行してもらうことも可能」(松本大社長)と見ているわけだ。

 また、オンライン証券各社の売買手数料や商品ラインナップに差がほとんどなくなってきた今、どこで買っても同じであれば、「追加購入するならウチで買おうとなる」(飯田室長)。つまり他社から顧客を争奪するうえでの“切り札”になるというのだ。

 今後も同社はユーザーからの要望を随時取り入れ、機能をさらに進化させていく構えだ。「商品による差別化に変わる、新たな差別化を図っていきたい」と、松本社長は意気込みを見せる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)

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