カラの財布を見る男性写真はイメージです Photo:PIXTA

収入の高い人のほうが貯金はたやすいと思われがち。しかし、外食や自分へのご褒美に簡単に財布の紐が緩んだり、「いつでも稼げるし」という過信のもと、教育費に住居費、被服費と、高水準の生活レベルから抜け出せなくなり、赤字に陥っているケースも少なくないようだ。実は高収入の人ほど貯められない、その現実とは。※本稿は、横山光昭『お金を貯められる人のすごい習慣 貯められる人、貯められない人の共通点』(ぱる出版)の一部を抜粋・編集したものです。

いつでも稼げるという自信が
財布の紐を緩ませる

 年収が低いからといってお金が貯められないわけではありません。むしろ注意すべきなのは、年収の高い人です。

 私の肌感覚で言うと、年収800万円以上になると、余計なことにお金を使いはじめ、かえってお金を貯められなくなってくる傾向にあるような気がします。たとえば、「今日は疲れたから」といって気軽に外食をしたり、「自分へのごほうび」と言って高級なゴルフクラブを買ったり……。

 また、いい学校を出て大企業や有名企業に勤め、いいポジションについている人ほど、「お金はいくら使ってもなんとかなる」という思いがあるようです。それがお金を貯めることの妨げになっているように思います。「稼ごうと思えば、いつでも稼げる」というような自信は働くうえで必要かもしれません。ですが、家計にもその気持ちを持ち込むと財布のひもが緩む原因にもつながり、気づいたら貯金が空だった!ということにもなりかねないのです。

 逆に、それよりも年収が低い方のほうが堅実に貯めることができています。「自分は大丈夫」「なんとかなる」という感覚にとらわれない分危機意識が働き、「きちんと貯めよう」という行動につながるのかもしれません。

子どもに4つの習い事
手取り月収75万円なのに赤字

 年収が高い人のほうが、教育費にもお金をかけがちです。その結果、家計が赤字になることも。

 Hさんは手取り75万円ほど。妻と子ども(保育園と小学生)の4人暮らしです。子どもの教育にも熱心で、英語やサッカー、スイミング、プログラミングスクールなど、4つお稽古に通わせています。教育費は月13万円にまで膨れ上がりました。

 かといって、ほかの項目も削れません。食費10万円以上、保険8万円、衣服代10万円など……毎月75万円の収入があるのに、支出は78万円以上。完全に赤字です。

 そこで、現在の家計の中から削れそうなところを一緒に探していくことにしましたが、「これも大事」「これは削れない」と、2万円ほどしか削れませんでした。「月75万円なんて、普通なら払えない金額ですよ」と言うと、「え、そうなんですか?」とびっくりした様子でした。周囲も似たような環境だと気づきにくいのかもしれませんね。