ビール事業参入からじつに45年。「万年4位」と揶揄されてきたサントリーが、ついにサッポロビールを逆転した。だが、この快挙は総じてライバル各社の顰蹙を買ってもいる。シェア逆転の原動力となったのが、事実上の「大安売り」だからだ。激変するビール勢力図の水面下の動きに迫った。
今年4月以降、大手ビールメーカー各社の幹部は、大手マーケティング会社から日々届けられる店頭シェア調査の報告に驚かされ続ける日々を送っている。
酒ディスカウンター(DS)を例にとれば、サントリーのシェア15%に対してサッポロビール9%、スーパーでもサントリー15%に対してサッポロ11%――。アサヒビール、キリンビール、サッポロに次いで万年4位が定位置だったサントリーが、異例の大躍進を遂げているのだ。
業界全体の課税出荷数量はビール酒造組合から毎月発表されているが、個別メーカーの出荷数量が明らかになるのは3ヵ月に1回の4半期ごとだけ。ちなみに次回の発表(4~6月累計)は7月10日だが、大手マーケティング会社の調査ではすでに4~5月でサントリーがサッポロを逆転してしまっている。ビール事業参入から、じつに45年目の快挙である。
第1四半期(1~3月)のサッポロとサントリーのシェアは、それぞれ13.3%、12.8%。サントリーはわずか0.5ポイント差にまで肉薄していた。数量換算では55万ケースで、これはサッポロ、サントリーそれぞれの4日分の出荷数量でしかない。
3月末まで猛烈なデッドヒートを繰り広げてきたサントリーとサッポロのシェア競争の潮目が一気に変わったのは4月のことである。